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PFMサウンドシステムを再検証するを読んで

一年数ヶ月ぶりに「とれいん」を買いました。松謙さんが書かれている「PFMサウンドシステムを再検証する」で、DCCサウンドではカットオフの調整ができないことが最大の欠点と書かれていたのは全く同感です。DCCサウンドだと常に力行状態のようなものですが、これも本格的レイアウトを持っていなければ、力行状態のブラスト音が一番聞き応え?があるとは思います。とはいっても将来的には走行中の機関車にコマンドを送ってカットオフが何段階かに可変出来るサウンドデコーダーが出てくると期待はしています。
また汽笛のことも書かれていましたが、実際に聞いてみるとPFM IIやPBLのForegroundSystemは素晴らしい音がしますが、SL-1の汽笛音はリバーブユニット付けてもあまりにもプアだと思います。私はDCCサウンドの汽笛音をきいてSL-1の汽笛音との差に愕然としたこともDCCサウンドに転向するきっかけの一つになりました。
せめてPFM方式でもDCCサウンドデコーダークラスの音がでるコントローラーが発売されていれば転向しなかったかもしれません。サウンドトラックス社も一時PFM互換のアナログサウンドシステム発売していましたが、撤退してしまいました。(やはり高価なコントローラー一台売るより、手頃な価格のサウンドデコーダー何台も売った方がビジネスとしては旨味が大きいのでしょうね)PBLもLongnecker氏が亡くなった後このビジネスから撤退してしまいました。というわけで現在新品で購入出来るのはSL1のみです。

あと松謙さんは書かれていませんでしたが、私がPFM方式の欠点だと思うのは、動輪に付けたサウンドコンタクトの保守が意外に面倒なことです。しばらく走らせないでおくとドラムの表面に酸化皮膜が出来たり、ブラシの圧力が不適切になって、ブラスト音がうまくでなくなることが時々あります。昔のように固定式の動輪に付けたコンタクトドラムをある程度の太さの金属線で強く擦っていたときは問題にならなかったのでしょうが、イコライザー可動の動輪に付けたドラムを動輪の動きを妨げないように細い金属線で擦るようすると不具合も出やすいようです。DCCだとモーター側にBackEMF機能つきのデコーダーつけておけば、コンタクトドラムなしでもほぼ速度に同期するようですので、サウンドトラックスの製品にオプションでついているコンタクトドラムを擦って速度検出する機能は不要だと思います。ただPFM方式では動輪が空転したときのせわしいブラスト音が聞けますが、DCCでは無理です。

日本でも蒸機用サウンドがアナログが廃れて、デジタルに移行しつつあるのは、システムの優劣というより、発売元の天賞堂が改良製品や上位機種を出さずに、回路の中身は少し変わっているようですが旧態依然たるSL-1を売り続けてきたことも大きな原因があるような気がします。せめて音の外部入力端子でもつけてくれれば状況はかなり変わっていたと思います。電気回路の達人の方は改造されているかたもおられるようですが、私のような電気回路の素人には、「基盤をさわると修理を断る」などと警告されてしまうとリスクが高いように思えてとうてい手を出す気にはなりません。

結論としては、PFMアナログサウンドとDCCサウンドに模型の汽車の音としての優劣はつけがたいが、前者のメーカーが現在のように新規開発や改良する意欲がないと、このまま絶滅していくのではないかと思います。

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Comments

こんにちは

DCCのカットオフはそういう名前ではないですがおそらく同じような機能が付いてますよ。英文が難しくて理解できてませんが。Tsunamiのマニュアルの後ろのほうに結構なページ数で出てます。あとSL-1は互換機能を持った基盤が安価でどっかから出てますのでドナーによいのではないでしょうか。どっちもアバウトな情報ですみません。

Posted by: まーくん | March 03, 2011 07:14 AM

SL-1互換はこれでした。
http://aono.homeip.net/model/diary/electric/sound/sound_110205.htm

カットオフはたぶんDDEって名前の機能がそれだと思います。クランクの音程をいじるCVとかがあるので。違ってたら間違いですのでご容赦ください。

Posted by: まーくん | March 03, 2011 07:21 AM

客観的に見ればDCCの方が優位なのは明らかだと思います。
それでもまだ私自身がSL-1にこだわっているのは、
「アナログな機械の代表格みたいな蒸機を操るのに、デジタルコントロールとはいかがなものか」という、何か石頭の親爺が意地になっているみいたいな心境ではないかと、自分では感じています。

いずれDCCは導入したいと思っていますが、SL-1との使い比べはそれからです。
唯一、SL-1が優位だと断言できる点は、汽笛の鳴り方がレバーの操作と同調する快感だと思っています。
ボタンを押したら一定の音がするのと、レバーを押す力加減で鳴り方を自由自在にコントロールするアナログ感とは、かなり感覚が違うと思います。

Posted by: 初瀬春日 | March 03, 2011 08:44 AM

まーくん(さん)、初瀬春日さん コメントありがとうございます。

AさんのSL1互換システムの存在は聞いておりましたが、まだ現物を見たことがないのです。またユーザーの方からはまだドラフト音以外の音源の問題が解決していないようにもお聞きしております。
ozuさんどうですか?

汽笛の音については、デジタルかアナログかというより結局は実物のサンプリング音を使うかシンセサイザー合成するかの問題だと思います。といってもSL-1のように汽笛レバーを操作して鳴らすのはDCCでは実現困難だと思います。
デジタル化した音声信号をDCCのコントロール信号に重畳して流せると実現できるかもしれませんが、現在のDCCの規格ではリアルタイムで音声信号も流すのは無理なような気がします。カットオフの変化は、数種類のブラスト音をチップに入れておいてファンクションで切り替えることにより可能だとはおもいますが、SL-1のように連続的に変化させることは無理でしょうね。

またDCCサウンドの音源車載方式ではでは雑音がないというのが売りですが、線路経由で音声信号を送るアナログ方式では線路から車輪で集電すると電気的なノイズが多いので音質の向上には限度があると思います。
それならいっそのこと、手元のコントローラーで音を作ってbluetoothで機関車に音を飛ばした方がいいかと思います。FM電波で飛ばすのは線路-車輪から発生する電気ノイズが多くて無理という話はききましたが、デジタルなら大丈夫かも?
Nゲージではやっておられるかたもあるようです。
http://masatsr.blog106.fc2.com/blog-entry-5.html
どんなものでしょうか??

Posted by: ゆうえん・こうじ | March 03, 2011 12:55 PM

私は最近ほったらかしてあるのでその後の状況はよくわかっていないのですが、やはり良い音源が無くて苦労されているようです。
互換システムはドラフト音以外はSDカードに入れた音源をボタン操作で呼び出す方式なので、どちらかと言うとDCCの簡略版という感じです。では何が互換かというと、車輌側がSL-1とほぼ同じでよいと言うことなのです。
PFM方式のもっとも良い点は、初瀬春日さんが言っている様に汽笛がレバー操作で加減できると言う点にあると思います。互換システムでもっとも残念なのが、汽笛がDCCと同じボタン操作だと言うことなのです。
DCCで将来的にそのようなアナログ操作的な機能が出てくればDCCへの全面移行も考えるのですが、無理なんでしょうかね?

Posted by: ozu | March 03, 2011 02:11 PM

皆さんこんにちは、互換システムの作者です。

皆さんのおっしゃる通りで、今の物は妥協の産物になっています。
DCCサウンドも同様ですが、CPUの能力が不足しているので、単純に再生するだけで精一杯です。使っているCPUが同程度の物なので、DCCと同程度の物になるのは、仕方が無い所です。PCM音源のシンセサイザーの様に、サンプリングしたデータをDSPで処理すれば、アナログ的な音を出すことは可能ですが、ハード・ソフト共にハードルが非常に高くなります。

携帯電話やデジタルTVと同程度のLSIを使用すれば、500MHz〜1GHzで動くCPUとDSPが使えるので、リアルタイムの合成も十分可能と思いますが、ここでの課題は生産数とソフト開発です。ハード的には上記のLSIでも量産価格は1000円程度ですので、問題は少ないと思います。

ソフト開発が一番の問題で、この規模になると趣味で作れる範囲ではありません。商品としても、かなり難易度が高いので、よほど生産数が多く無いとペイしないと思います。なので商品として出る事は期待出来ないでしょう。一応、今使っているCPUの数10倍速いCPUは入手してあって、これを使えば、リアルタイムの合成処理は無理としても、リアルタイムでサウンドのピッチを変える事位は出来るはずなのですが、ソフト開発は苦手科目ですので、着手の目処もありません。

DCCデコーダにリアルタイム処理が可能なLSIを搭載するのはかなり困難と思います。今のDCCデコーダは家電用の汎用LSIを使っているので、高度な事はできません。私の本業はLSI設計のロジック屋で、本業の立場で見ると、DCCデコーダに必要な機能は、たいした事は無いので、カスタムでLSIを作成できれば、サウンド用デコーダでも、モータドライバの出力トランジスタと電源部以外を完全に1チップにする事が可能です。ただ、最低でも100万個程度は作らないとコストが下がらないので、鉄道模型の市場規模では不可能です。要求仕様が特殊なので、汎用品は期待できませんから、DCCサウンドの高機能化の道は厳しいと思います。

Posted by: あおの | March 03, 2011 06:03 PM

初めてのコメントで失礼いたします。
廃れる運命のアナログサウンド(PFM Sound System ⅡとPBL Foreground Sound System)愛用者です。

現在,アナログサウンド(PFM互換)コントローラーを新品で購入できるものとして,Grizzly Mountain EngineeringのGME Model Railroad Sound Generating Systemはあります。
http://www.g-m-e.com/soundsys.html
これは持っていませんが,説明を見る限りでは汽笛の音色の選択なども含めSSⅡと同等のようで,PFMでは別付けだったリヴァーブと外部スピーカー用のアウトプットも組込んであり,SSⅡでは3カセットのテープデッキを使っていた音もデジタル化して組込んであるということなので,SSⅡの改良版と呼ぶべき製品のようです。
果たしてどれだけの人にこれが受け入れられているのかは判りませんが…。

Posted by: Tad | March 04, 2011 03:25 AM

たくさんのコメントをいただきありがとうございます。

まーくん(さん)のいわれるDDE(Dynamic Digital Exhaust)ですが、
tunamiのオンラインマニュアルの
http://www.soundtraxx.com/manuals/tsunamisteam_users_guide.pdf
50ページから解説されているようです。
ドラフト音の速度に対する頻度や音の変化をを細かく設定はできるようですが、プログラミングモードでCV値を設定するもののようで、ドラフト音自体はCV値に応じて自動的に変化するようです。走行中にファンクション操作をしてカットオフを変化させることはできないようです。
前にも書いたようにカットオフの変化については、力行運転や絶気運転などいくつかもパターンをチップに仕込んでおいて走行中にファンクションで切り替えるようにすればできると思うのですが、どこかのDCCメーカーでこのようなサウンドデコーダー作っていないのでしょうか?

あおのさん、互換システムの作者さんのお出まし恐縮です。
サウンドシステム自体、やはりすべての音の合成は無理でサンプリング音をタイミングを見計らって再生して流すということになるのだと思います。
このあたりマイコン組み込みではなく、汎用のノートパソコンで処理したりはできないのでしょうか?

Posted by: ゆうえん・こうじ | March 04, 2011 12:50 PM

今の構成に決めるまでに、無線で飛ばす事も、PCを使う事も考えましたが、『お手軽・低コスト』がコンセプトだったので、今の『DCCサウンドデコーダと同等な物を手元に置いて、簡単に音を変えられる様にする。』と言う構成になりました。目標コストの1万円は守れませんでしたが、電源を入れれば即使えるので、お手軽には出来たと思います。

PCを使った場合、私の技術ではソフトが作れないと言う事を除いても、幾つかの課題があります。一番の問題は外部とのI/Fで、PCではハードを直接叩くのは禁止ですので、かなり面倒になります。以前はシリアルやパラレルがあったので、なんとかなったのですが、今は汎用性を考えるとUSBしかありません。USBに取り付ける汎用ポートの製品もあるのですが、どの程度の遅延時間で入出力できるかが不明なのと、PCを使う上に特殊なUSB機器が必要になるので、お手軽とは言えなくなってしまいます。

カム同期やボリュームによる操作等はあきらめて、パワーパックの制御も含めて全てPCで行うことにすれば、PCは出力のみになるので、かなり簡単になりますが、特殊なI/Fが必要な事はかわりませんし、キーボードやマウスで制御するのも気乗りしません。

PCを使ったり、組み込みでも高機能なCPUを使えば、合成も十分可能ですが、音声処理の知識がないと作れないと思います。私の手抜きシステムのソフトは、全部で数10KByte程度ですが、素人が作っているので、これでも去年の全趣味時間の半分を使っています。シンセサイザを作るとなると、この何十倍の時間が必要でしょう。音声処理の経験が豊富でライブラリ等がなければ無理と思います。

ゆうえんさんの言われる様なデコーダを作成することは、技術的には十分可能でしょうが、データ量が非常に大きくなって、処理も複雑化するので、コスト等の問題があって製品化出来ないのだと思います。

Posted by: あおの | March 04, 2011 06:41 PM

ゆうえんさん。
そのDDEの最初の説明を少し意味を膨らませながら読んでみてくださいな。上り坂では迫力あるドラフトで下り坂では...みたいに書いてありますよ。私は英語がよくわかんないんであれなんですがBEMFの電流値の変化でカットオフに似たことはできるんだと思っています。

Posted by: まーくん | March 04, 2011 09:52 PM

tunamiのドラフト音は、コントローラーのスロットルにあわせたタイミングで音を出す設定とBackEMF機能で機関車のモーターの回転数を検出して音を出す設定の二つの設定があるようです。この二つの機能を使って、登りか下りかを判別して自動的にカットオフを変えるようなこともできるようです。ただコレはプリセットの自動なんですね。
PFM-SL1方式のアナログだと手動で変化させられるので平坦線のエンドレスでも擬似的に上り坂の力行でも、絶気運転でも走らせられます。ただこちらは実際の勾配でも自動で変化させる機能はついていませんので運転手が操作する必要があります。
やはいアメリカ人モデラーには自動の方が好まれるのでしょうか?

Posted by: ゆうえん・こうじ | March 05, 2011 01:16 AM

MRCのサウンドオンリーデコーダー1665では、ファンクション24で走行中でも排気音を変更できるようです。ファンクション24を一回押すとおとが変化していきますが、これは音色が変わるのみでカットオフを変化させているという感じにではないですね。

Posted by: ゆうえん・こうじ | March 10, 2011 12:08 AM

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