パイロットモデルと製品の関係
最近は3D-CADなどで造形して試作もなしにそのまま製品にしてしまうこともあるらしいですが、昔からのブラスモデルでは、まず試作のパイロットモデルが出来て、それをベースに量産された製品がつくられるのが普通です。
普通は業者さんの内輪でパイロットモデルがつくられますが、アマチュアのモデラーがつくられた秀作をパイロットモデルとして製品が作られることも少なくありません。有名のなのが故内野日出男さんのK27で、これをベースにしてPFMの傑作といわれるK-27が作られた事例だと思います。
ただ量産品でオリジナルのパイロットモデルの完全なコピーができるかどうかはまた別問題で、蒸機では量産品ではドームの形状などがイマイチということも少なくありません。とはいってもメーカーを非難は出来ず、自分でもガレキ作成で一度経験しましたが、自分のイメージどおりの挽物の図面を描くのは大変難しいです。米国のPSCや最近の日本のメーカーでもドームがロストなのは??と以前は思っていましたが、微妙なカーブの再現ということならロストの方が良いかもと思うようになりました。最近の3Dスキャナを使えば、パイロットモデルをスキャンした立体イメージから加工すればオリジナルと寸分違わぬドームなども出来るかもしれないです。全体のコピーも可能かもしれないですね。
いささか話が脱線しましたが、つまりパイロットモデルをそのまま製品化するのは難しいくて成功事例は少ないということです。そういうわけでパイロットモデルが素晴らしくても製品が????というとは珍しくありません。
最近某社から発売されたある蒸機のバラキットでも、パイロットモデルとなったアマチュアの某氏が作られた手作りの作品はすばらしかったのですが、発売された製品を入手してみるとドームの形態やキャブの窓の大きさなどがイマイチでした。特に発売元の発行配布しているフライヤーには、発売予告に某氏のパイロットモデルの素晴らしい写真が掲載されていたので落胆しました。もう一度そのパイロットモデルの記事が掲載されたTMS旧号も引っ張り出してきて写真を確認してみましたがやっぱりキットとは印象が違います。他にも同じような印象を受けられた方もおられたようで、ネット上で失意のメッセージ書き込みをみました。
ところが私が製品の辛口批評をしたのが、回り廻ってパイロットモデルを作られた某氏のお耳に入ったようで、お怒りをかってしまったようです。別に私は製品を批判しただけで、某氏のつくられたオリジナルのパイロットモデルを中傷したつもりではないですが・・・
Comments
私自身は、だれかの作品をコピーして発売するということは反対です。
いくら素晴らしいものであっても、それはあくまで、オリジナルを作った人の作品のことで、それを製品にすれば、単にその設計を量産したに過ぎず、同じものとは言えないし、鉄道模型が「実物」の模型であることを考えると、あくまで実物の資料を基に作るべきで、オリジナルの作品が実物を基に作っているなら同じ外観になって当たり前であって、「だれだれの作品」と言う謳い文句は成り立たないと思います。
芸術作品のコピーならわからないでもありませんが、実物の縮尺模型であるべき鉄道模型(メーカーが実物の形式を提示している場合)に「だれだれの作品を基にする」という考え方自体がおかしいと思います。
ましてや、その基になる作品と製品が違っていたのなら、悪いのは完全にメーカーであって、その点を批判することは良いことで、それがもとで売れなくなればメーカーも少しは反省するかもしれず、糾弾されるようなものではないと思います。
ですから、文句を言った元の作品を作った方にちゃんと説明をして、悪いのはメーカーであることをはっきりさせるべきだと思います。
まぁ、何より許せないのは、そもそも自ら設計をせずに個人の作品におんぶにだっこをしたメーカーであると思います。
Posted by: クラーケン | April 12, 2014 05:06 PM
私はクラーケンさんとは少し考えが違って、個人の優れた作品をベースのパイロットモデルにした製品化は問題ないし、むしろ歓迎すべきだと思っています。実現するはずはないですが、もし平野さんの双頭の鉄騎兵のコピーモデルがでたら飛びつくと思います。もしより実物に忠実なモデルと平野さんのコピーモデル並べられてどちらか片方と究極の選択迫られたら、迷わず後者をとるとおもいます。
模型は実物をそのまま縮小した標本ではなく、作者が主観で作り替えたものだからある意味で芸術作品のようなものと思っています。
例として適当かどうかわかりませんが、珊瑚の96二軸テンダーは久保田富弘さんのモデルをパイロットモデルにしてつくられたことは明白です(珊瑚の店頭にも久保田さんのモデルの大きな写真が飾ってありますね)が久保田流のディフォルメが効いて味のあるモデルになっていると思います。またその久保田さんの模型自体も実物とよりも旧交博(現鉄博)の銀色のモデルの印象をベースにされているようです。ただ珊瑚のキットはテンダーは、久保田さんのモデルのコピーではなく スケール化されているようです。私はむしろ久保田さんの少し大きめでテンダー上縁のRが大きい方が好きです。
好きな有名画家の絵の複製を自分の周りに飾るのと同じようなものではないかと思います。大金持ちならカスタムビルダーにお願いして作ってもらうことも出来るのかもしれませんが、私の薄っぺらい財布では到底無理です。
また今回の話からは脱線しますが、他人の作品を自作でコピーしてみたい衝動にかられることもあります。今野さんのJ&YLineから北杜鉄道に移籍した緑のコロンビアはいつか作ってみたいです。
Posted by: ゆうえん・こうじ | April 12, 2014 05:59 PM
今回の事態は想定外で、模型化したメーカーへの批判をパイロットモデルの作者が自分に対する批判とすり替えてしまったのだと思います。余談ですが、パイロットモデルと製品化を考えての先行試作品は全く違います。和久田さんのモデルは2年程米国に滞在していましたが、手に負えないという事で帰って来ました。ナローのフェルトバーンやコッペルは製品化を意識したパイロットモデルでしたので、成功しました。
Posted by: コン | April 14, 2014 01:07 AM
私はスケールに凝り固まった人間ではなく、リアルな自由形を作りたいがために実物の研究を始めたんです、そういう人間ですが、和久田さんの機関車はちゃんとオリジナルのイメージが残っていて、非常にうまくデフォルメしていて本当に上手いデザインだと感心しました。
実物にこだわった自由形とは違う自由形のありように目から鱗が落ちたような衝撃を受けました。
ですが、私にはあのようなセンスは持ち合わせていないのが残念です。
とはいえ、KKCで「あんな感じの自由形を作ろう」という競作のお話でも出たら、チャレンジしてみたいなどと思っています。
Posted by: クラーケン | April 14, 2014 02:01 AM
クラーケンさん、ゆうえんさん
ハハハ、私も和久ってみたいです(笑)
Posted by: うっかりバロー兵衛 | April 15, 2014 07:02 AM