閑話数題(2) ハンダ付けフラックス
ハンダ付け用フラックスは、市販の板金用・ステンレス用フラックスを数倍に水で希釈したものを使うのがよいということが、模型仲間のあいだでは常識?となっていました。
それに対して、ddx40aさんが科学的観点から「原液で薄めずに使うのがよい」と異議を唱えられました。
これらのフラックスの主成分だる塩化亜鉛の飽和溶液は320度が沸点なので、水で薄めると水分が蒸発して飽和溶液になるまで、発生する水蒸気でフラックスが跳ねて飛び散って工作台の工具が錆び付くので水で薄めるのは意味がないそうです。
フラックスの作用機序は、dda40xさんの受け売りですが、塩化亜鉛や塩化アンモニウムが熱分解して発生する塩化水素で金属表面の酸化皮膜が除去されるのでハンダが流れるそうです。
実際やってみると確かに薄めないで原液のまま使うとフラックスがほとんど飛び散りません。ただしフラックスは原液だとかなり粘稠なので少し使いにくいようにも感じました。フラックスをしっかり塗ってから合わせて加熱できるようなものはよいのですが、車体に妻板をイモ付けする場合など、フラックスを一カ所につけるとあとは、材料の毛細管現象でフラックスが隙間に流れ込んで拡がっていくというような使い方をするときは、水で薄めて粘度を下げた方が使いやすいようです。これも私のまわりの数人の方がトライして同じ印象を持たれたようです。
盲信的に必ずフラックスを水で希釈して使うというもよくないですが、作業の特性によっては水で希釈するのもアリだと思います。要は何事でもひとつの方法をとおすのではなく、状況に応じて条件設定をうまくやることで好結果が得られるということのようです。
また工作後のフラックスの処理ですが、これも長期間そのままにしておくとハンダが変質してボロボロになってきます。また某氏によると作業後に流水で洗っただけでは不十分で、一晩水につけておくのがよいそうです。ざっと水洗いしたあと一晩水につければ隙間に貯まったフラックスもほとんど除去できるといわれます。
追記(2016.5.1) みなさんフラックスではいろいろ蘊蓄がありますね
ddx40aさんのサイト
4/30 ハンダ付けフラックス
4/4 ハンダ付け用フラックスの仕組み
コンさんのサイト
4/30 集電ブラシとフラックスの件
skt48さんのサイト
ハンダ付け用フラックス&突沸
Comments
ステンレス用を薄めて使っていて、水が飛び散る音がしていましたが、そして、時々真っ黒になる。 なるほどです。 どこかで薄めるように聞いたのですが、固定観念にとらわれないで自分で試す事、なるほどです。
Posted by: 鉄道模型のある生活 | April 30, 2016 08:48 PM
飽和水溶液の沸点は、塩化亜鉛が320℃、塩化アンモニウムもおなじくらいだそうです。うまく温度制御ができていれば、沸点以下の温度でハンダが溶けるのでフラックスは沸騰しないことになります。
私もバーナーで炙ったときは、フラックスが真っ黒に焼け焦げたようになりますが温度があがりすぎなのでしょうね。
ハンダゴテは温度調整つきのが使いやすいですよ、コテが早く暖まるのと過熱予防となります。
http://kotenki.cocolog-nifty.com/loco/2015/12/post-8c15.html
Posted by: ゆうえん・こうじ | May 01, 2016 07:57 AM