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ユウレイを弄る(1)

ユウレイ [客貨車に動力を仕込んで機関車の牽引力を補う動力車] は邪道という方もおられますが、16番以下の大きさの鉄道模型では現実的な解決法の一つだと思います。

ただし、機関車よりもユウレイが強力過ぎても、走行特性(電圧と速度の関係や起動電圧)が違いすぎても、機関車とユウレイの間に挟んだ非動力車両が脱線して具合が悪いようです。

すくなくても

(機関車の牽引力)+(ユウレイの牽引力)>(牽引列車の走行抵抗)

(ユウレイの牽引力)<(牽引列車の走行抵抗)

がなりたたないといけないように思います。

*追記

これは動力付きの機関車と補機としてのユウレイについての話です。動力なしの機関車を押す元祖ユウレイでは、話は違ってきますので念のため。

また上記の牽引力の関係で

(機関車の牽引力)>=(ユウレイの牽引力)

であった方が調子がよいと思います

 

またユウレイは、車輪からモーターが逆回転できる(線路上で手で押しても動く)方が、機関車とユウレイの協調性がよいようです。

これは車輪からモーターを逆回転可能なギアシステムを使うか、クラーケンさんの機械式クラッチなどを使うことが考えられます。

市販の逆回転可能なギアを使った動力装置として、すぐ想い浮かぶのは3条ウォームギアのKATOのHO はやぶさ用動力台車です。というわけで罪庫を引っ張り出してきました。

20230429-20-04-23

実験してみると、80g程度のウェイトを載せた状態で、12v空転時で0.3Nの牽引力があり、引っ張ってみると線路絶縁時で0.1N弱、線路短絡時で0.2Nの走行抵抗があるようです。これはニュートンメーターを使って測定しました。

コアレスモーターを使っているためか1.5Vぐらいで走り始めます。そのため起動電圧の高い旧型モーターとは走行特性があわないと予想されます。

これについては、DC運転では以前NZ さんが作られていたダイオードの順方向電圧降下を利用してみようかと思います。DCCへの対応は未定です。この電圧低下回路は、Dさんの”ある装置”(逆起電圧キャンセラー)の機能もあるのではないかと期待しています。

なお逆回転時に 逆起電圧(BEMF)は2Vぐらいはでるようです。

搭載車両はこの台車の軸距が28.5mmなので、罪庫していた珊瑚の山陽鉄道電源車のエッチング板組んで仕込んでみようかと思い始めました。

またある程度まとまったら報告します。

20230429-20-07-20

牽引力と牽引抵抗については、Dさんの定義を使わせていただきました。

趣味だから、そこまで厳密に言葉を定義しなくてもよいのでは?といわれる方もおられますが、最低限メカニカルな部分では言葉をきっちり定義しないと話の行き違いがおきると思います。言葉の意味が違うと賛成しているようでも実際考えていることは違う 同床異夢状態になってしまいます。レイアウトなどの情景芸術的なそういう言葉で明確に定義できない領域も鉄道模型に含まれるのはこの趣味のオモシロいところだと思います。

☆5/6追記

このメッセージに対するコメントは、当分のあいだすべて非公開とさせていただきます。理由はトップページをご覧ください

 

 

 

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Comments

私の場合、2021年頃から列車を牽引するのに必要な力を測定した時は、当初は
「客車を牽引するのに必要な力」
と書き、後に
「牽引負荷」
と書いています。
無論、機関車が牽引する力はそれ以前から
「牽引力」
と書いていて、当初より区別しています。
なお、「牽引負荷」と称するのが正しいかどうかは分かりません。

Posted by: 森井義博 | April 29, 2023 10:37 PM

実物の重連や補機の場合は運転手が連絡を取り合ったり負荷を感じ取って調整して牽引力の調整、速度のシンクロをしているのでしょうか。模型でも同じことが必要と思いますが、ユーレーやEL、DLは動輪がスリップしていても目立たないので、乱暴ですが、本機(牽引機)よりも先に動輪が滑り出す設定にすれば良いのではと思います。ギアトレイン内にトルク調節可能な摩擦クラッチみたいなものを組み込んでもいいのかもしれません。本機と補機のトルクをシンクロさせるような電子制御が理想だと思いますが実現可能なのでしょうか?

Posted by: sktrokaru | April 30, 2023 08:44 AM

ユウレイ?
その表現は分かりませんが。
客車に動力を仕込むのは、小さなナローではアリなんではないでしょうか?
否定する人は 小さなナローを作った事ありますかね?
明延の5号機関車なんて、客車も小さいですが5号機関車は 更に小さいですけど。
あれに動力仕込むとか?至難の業だと思いますね。
もりこーさんのとこの、明延の機関車群の完成品。いまだに人気高いですよね。
まあ、その人は小さなナローの良さなど判らない人だろうと思いますけどね。

Posted by: 古典好物 | April 30, 2023 10:32 AM

sktrokaruさま コメントありがとうございます

 私はむしろ逆で、機関車が静止しているのに、ユウレイがウンウン唸って空転しているのが嫌なので、まず機関車が動き始めてから、ユウレイが動き出すという仕様にしようと思います。
 考え方としては、手で押しても動くような伝動装置と可変電圧降下回路を組み合わせて、まず機関車のみでスタートしてある程度線路電圧が上がるとユウレイのモーターが動き始めるという設定を考えています。
 起動時機関車が’列車を引きだせないようなら当然スロットルを上げるので、ユウレイもオンになるようにしようとおもいます。
 ただKATOのはやぶさ台車は、電源オフで押されるときの走行抵抗が大きいので上手くいかないかもしれません。そこでコケたら、モーター静止時に走行抵抗の小さいクラーケン式の機械クラッチを考えます。
 電子制御に関しては、DCCなら線路に常時交流が供給されているので電源の確保は容易ですが、DCでは静止時の制御回路電源の確保が困難で電池やバッテリ搭載が必要かと思っています。
 また回転数を検知するのは、ロータリーエンコーダーやモーターのBEMF検出で比較的容易にできますが、回転トルクの検出は模型車両に入る大きさでは難しいようです。
 サウンドトラックスのTsunami2のDDEという仕組みでのカットオフによる自動ブラスト音切り替えは、DCCコントローラーからの速度指令信号とBEMFから計算した走行速度の差から列車牽引抵抗=蒸気機関トルク?を推定して切り替えているようです。

Posted by: ゆうえん・こうじ | April 30, 2023 11:36 AM

古典好物さま コメントありがとうございます

最近までそれに気付かなかったのですが、16番/HO Oゲージ
 Nゲージには 大きさの違いだけではなく 物理量として大きな差があります。
 大きさが倍になると、運動エネルギーはe=1/2*m*v^2 で、重量(質量)は体積は2^3=8倍 速度は実物速度が同じでも模型速度は倍となるので 8*2*2=32倍のエネルギーをもつことになります。
 だから同じ土俵では話ができないのだと思います。

この問題については話が長くなるので別項にします。
興味のある方は、「続・蒸機を作ろう」の谷川さんが書かれた「縮尺の物理学」を是非読んでください
https://www.imon.co.jp/webshop/index.php?main_page=product_info&products_id=189298

Posted by: ゆうえん・こうじ | April 30, 2023 11:59 AM

ゆうえん様
「同床異夢」とは以下のことを言うのですかね。
以前、弊ブログで貴兄のコメントに対し、
22.06.22:「車重やμが大きい車両を牽引すれば、影響が大きいことは予想できます。モーターだけでなく、dda40xさんが述べられている「牽かれる側の問題」もあるように感じます」と返答しましたが、直後の本ブログにおいて、
22.06.26:「電車のように固定編成でなければすべての車両に走行低減化加工おこなうのは現実的には難しいと思います」と明確な理由もなく返されました。
ユーレイに関しての、かのサイトでの記述は、
23.04.09:「要するに列車の抵抗が非常に大きく、機関車だけでは牽けないということである。本来は客貨車の抵抗を減じることを真っ先にすべきである。
やろうと思えば出来る範囲にあることなのである。それをどうしてやらないかが、理解しがたい。」とです。
「牽引抵抗の低減が先」と言われたことに対し「ユーレイは邪道」と否定されたように書くと、古典好物様のように誤解される方も多いように思いますが如何でしょうか。

Posted by: I田 | May 01, 2023 09:50 AM

ユウレイ?誤解?
私は誤解なんてしてませんが?

鉄道模型に使うギアの精度が高くなければいけないと云うのは 正論だと思います。
補機の連動についての文言も理解出来ます。
しかし、だからと言ってモーターは強力でなければいけないとか?必ずしもそうではないと思います。その為のギアの精度であり、補機の連動も解決方法は色々ある筈です。ゆうえんさんのおこなっている事は否定出来るでしょうか?
先ず試してみる。正論では?

小さなナローには、走らせて楽しむ事が沢山詰まっています。モーターが非力とか?
一点だけの否定?
動力模型は全ての力学で成り立つものでしょう?もう少し、熟考しましょうよ。

大きいのが好きな人、小さいのが好きな人。そんなの只の個人の見解じゃないんですかね?

Posted by: 古典好物 | May 01, 2023 10:49 AM

I田さま コメントありがとうございます

貴ブログの7両の国鉄型客車を挟んだ流線型C55のプッシュプル列車のスムースな運転ぶりには感服しました。

私が言いたかったのは、以前TMSの某連載記事で「てんびん棒イコライザー」の「イコライザー」のように、ひとつの用語に対する定義が不明確だと、正確な議論ができないということです。今回のユウレイに限定した、話ではありません。

手持ちの車両の一部からでも、走行低減化加工をしていくのはもちろん必要ですが、全車両でおこなうのは難しい。自分の車両でも軸受などを構造上作り直す必要あり、時間的にちょっと難しい。固定編成の電車と違って、機関車と客貨車など編成を組み替えるものは、時間対効果比が悪いということです。

確かに「牽引抵抗の低減を先におこなわずに、いきなりユウレイに走るのは邪道」といわれるのが、dda40xさんの意図されるところだと思います。
ただ dda40xさんのOゲージややI田さんの16番制式機、他の方が搭載されているHOの米国形大型機と古典好物さんの16番中小型機や1/87-1/80のナローでは、古典好物さんのコメントにご返事したように、物理的特性がまったく違ってくるし、大きさの制約から搭載できるモーターの特性もかなり違うので、同じ土俵では議論にならないと思います。
これが<同床異夢>なのかもしれません。

Posted by: ゆうえん・こうじ | May 01, 2023 11:09 AM

ゆうえんさま
たしかに舞台に上がった模型列車には、無駄な動きをすることなく不利な環境条件を感じさせない演技をして貰いたいですね。
蕗狩軽便鉄道図画工作部はとにかくそれなりの環境条件、車両/線路整備条件下で、スマートではなくてもとにかく割と簡単に実現でき、壊れることなくトラブルなくストレスなく遊べればと考える方なので、現場実用的な方策に傾きがちです。
電子的な方法でのシンクロナイズも実現出来そうなのを知ってとても興味深かったです。
模型列車と言う役者に、どんな舞台装置、環境条件を整え、その演技に何を求めるかは皆それぞれ違うと思うので、いろいろなユーレーの機能構造や使い方が出てくると面白そうです。

Posted by: sktrokaru | May 01, 2023 02:26 PM

私は自分のやっている大きさの鉄道模型でできることが他の大きさの模型で通じるとはおもっていません。

それぞれの大きさでできることや有用な方法は違ってくると思います。

コメント欄での議論はこの時点で打ち止めとさせていただきます。

Posted by: ゆうえん・こうじ | May 01, 2023 02:34 PM

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