査読と著者校正
査読(さどく)というのは、大学などの研究機関に勤務されたことがある方以外は馴染みのない言葉かもしれませんが、まともな学術雑誌の場合 論文を投稿すると匿名の査読者(投稿した論文の領域のエキスパート)が、問題点を指摘して一旦著者に返されて、論文を修正してその問題点がクリアーできてはじめて、学術雑誌に投稿記事が掲載されるという論文審査システムのことです。著者と査読者の間を数回、論文原稿が行き来することもよくあります。もちろん査読者が問題点の修正をおこなってもその雑誌に載せる価値がないと判断させた論文は、不掲載(リジェクト)となり戻ってきます。最近研究不正で話題になっているハゲタカジャーナルというのは、高い掲載料を払えば実質的な査読審査なしに掲載してくれる雑誌のことで、研究者の研究論文数の水増しに利用されているエセ学術雑誌のことです。
鉄道模型雑誌の場合は、記事投稿しても内容に関する査読まではおこなわれることなく掲載されてしまいます。記事内容がその雑誌の方針にあわないか、投稿作品の作品の質に問題がある場合以外はリジェクトされることはないようです。そのためときどきトンデモ記事が掲載されることもあるわけです。
鉄道模型雑誌に投稿するときは、査読がないので自己認識がないままにトンデモ記事を書いてしまうリスクがあるので、時間のあるときはその領域に詳しい知人に内容チェックをお願いしています。その意見を聞いて一部書き直して投稿しています。
また著者校正というのは、ゲラ(組版)刷りができた段階で、出版社から一旦著者にゲラ刷りを渡して、修正するという作業のことです。これは学術雑誌でなくても一般の出版物でおこなわれているのでご存じの方も多いと思います。これをすることにより出版内容に著者が同意したということにもなります。
鉄道模型雑誌では、従来著者校正がなく、お願いしても編集作業の時間が厳しいのでその余裕がないと断られることがほとんどでした。原稿と作品、著者が作成した図表、撮影した写真を送って後はお任せで、雑誌が刊行されるまで記事内容はわからない。自分の原稿や編集者の加筆した部分で誤りがあってもそのまま出版されてしまう状況でした。
TMS誌も山崎主筆の時代以来ずっと旧体制はそうでしたが、新体制で編集長が替わってから、希望すれば著者校正できるようになりました。著者校正を希望されない方も多いらしいですが、やはり作品記事は、模型製作の最終段階だと自分は思っているので、こちらの不注意で間違いがあったり自分の意に沿わないスタイルの記事がでないのはよくなったと思います。
また最近は、査読ではありませんが、先に投稿原稿をメールで送ると修正や図表、画像、文章の編集者からの追加要望も聞かせてもらえるようになり、記事原稿の完成度あげることができるようになったのもうれしい点です。
現在120形の牽く阪神間開業時列車の投稿・編集作業が進行中です。近々掲載誌が刊行されるはずですので、また皆さんのご意見、ご批評をいただくようにお願いします。
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