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なぜ鉄道模型車両を自作するのか?

 某SNSで「ブラスモデル完成品が高くて買えない」というポストに「自作すれば安くつく」というコメントがついていましたが、これはまったくナンセンスですよね
 ブラスモデルと同じ構成で自作したり、バラキットを組んだら、自分の模型製作に対する人工費(にんくひ)や工具の償却費など考えると、到底完成品の値段では出来ません。

 いまどきの自作やバラキット組み立ては工作や製作のための資料集めを楽しむためにやるものだと思います。昔と違って自分の欲しい模型をローコストで手に入れる手段ではなくなっていると思います。
 ライブスチームを自作されている方が、一見金のかかる趣味に見えるが、工作を楽しめる時間単価で計算するとこんなに安い趣味はないと書かれていたのもなるほどと思います。
 また完成品のある車種の模型は自作しないという方もおられますが、完成品と同じ土俵で他人から評価されるのはどうも・・・という心情は理解できますが、これだけ多品種の完成品が市販されていると それにこだわるのもなぁという気がします。
 自作やキット改造を欲しい模型を手に入れるための手段と割り切っておられる方はそれでもよいのかもしれませんが、自分には違和感あります。むしろ完成品がでている車種でもそれが自分の欲求水準に達しないから、自作するという心情に共感できます。

 TMSの車両コンペでも最近はスクラッチビルドの入賞作が減ってキット加工が増えたのはどうも・・と批判される方もおられますが、結局これだけキットの車種が増えて製品レベルが上がってくると、最初からスクラッチするより製品利用で浮いた時間を別の部分の工作に投入して、ハイレベルの模型を作った方が上位入賞しているような印象を持っています。審査のとき、スクラッチビルドの作品にハンディをつける必要はないと私は思います。

ちょっと話が飛びますが

 若いときににはフルスクラッチの自作模型に憧れた時期もありますが、人生も半ばを過ぎて先が見えてくると、許容できる範囲でキットやパーツはできるだけ使って、残された時間に自分の作りたい模型をできるだけつくっておきたいという心情が優先するようになりました。
 つくりたかった模型でできなかったものが多ければ、現世に未練が残って成仏できないかも・・・(というのは冗談です)
 若いときなら許せなかったキットやパーツの不満も、最近は許容して使えるようになりました。歳をとって人間丸くなったのかもしれません。

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9600 (52) 汽笛をつける

汽笛はキットのオリジナルでは、U型のパーツを妻板に割ピンで止めるようになっていますが、実物はボイラーに取り付けられたブラケット上に2本汽笛がならんでいるようなので、自作しました。

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パーツ単体で見ると 少しオーバースケールになりましたが何とか格好はつきました

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ブランケット部分はエコーのブレーキシュー ロストパーツのランナー部分を利用して削りだしました。汽笛は珊瑚の古典機用の挽物パーツを使いました。

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1030原形をつくる (2)1/80 でつくるべきか 1/76 でつくるべきか それが問題

最初1/80で図面をひいてみたら、ちょっと小さい感じになったので、 1/76でひき直したらちょうどよい感じとなりました。実は以前作った8450も機関車本体は、1/80ではなく1/78で基本設計して寸法微調整しています。

「16番の思想」では、小型機は大きめにつくるというのが基本だと思います。これは本来16番が誕生した昭和20年代のモーターの大きさの制約からきたかもしれない?とも思いますが、小型モーターが充実して1/80で製作可能となっても陳旧化した考えではないと思います。

今回は最初使おうと思ったエコーモデルのφ11.5動輪より、KKCクラブ配布品のφ12.0動輪の方がよくにあいそうなので1/76を検討しています

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上が1/76 下が1/80

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またこういったランボード上にスプラッシャーのないタイプの機関車では動輪と床板の当たりを十分検討する必要があります。模型はフランジが実物より大きいのでそのあたりの寸法的な制約が機種によってはかなり出てきます。今回はその対応で床板高さをスケールより、0.25から0.5mm程度高くせざるをえまえん。最終的に当たりそうなところにカプトン(ポリアミド)テープなどの極薄絶縁テープを貼っておけばよいのかもしれませんが、要注意です。

さらに第一動輪とシリンダーもそのままでは接触するので、1/76設計では第一動輪を0.5mm後にずらしました。シリンダーを前にずらすと煙室もずらさざるをえないので僅かな寸法でも全体のプロポーションの印象が変化します。

こういう場合 動輪径をスケールより小さくして逃げる手もありますが、それではこのような小動輪径のモデルでは印象が変わってしまいますので今回は採用しませんでした。

シリンダーもピストン棒中心を偏心させて24mm間隔にした方が感じよくおさまりそうです。

こういった寸法の微調整をどう処理するかが設計の腕の見せ所なんでしょうが、私はまだまだです。

 

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1030原形をつくる (1) まず簡単に図面を書いてみました

来年のKKCのお題は「タンクロコ」となりました。

今日は休みだったので、飼猫と一緒にゴロゴロしながら何にしようか考えていると いつかは作りたいと思っていたこの機関車が頭に浮かびました。

実際手を動かしているときよりこういうときが至福の時なのかもしれません。

今年のお題の「D型機」も完成していないのですが、いつものように金田さんの形式図を使わせてもらって、いちおう手抜き設計してみました。

MacのGimpでスキャナから取り込んだ画像を処理して、DraftingCADというドローソフトで上書きしています。

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これならなんとかいけそうです。車体幅や床板幅は検討が必要だとは思いますが、シリンダーを床板より左右に出張らせて逃げれば、縮尺どおりの車体幅も可能かもしれません。

まだ仕掛かり機関車があるので、すぐには着手できませんが、パーツ集めははじめようと思います。

なおこの機関車には詳細な組立図があります。金田さんのAvonsideの機関車の本に折り込み図面が入っています。

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なおこの本はまだ新品がヤフオク経由で買えます。興味のある方はこの機会にぜひどうぞ。

またこの機関車自体は保存されていませんが、英国のDidcot Railway Centre に同じメーカーの製番が5番違いのサドルタンク機が動態保存されています。これはB型機でオープンキャブと少し形態の違いはありますが、類似点も多いと思います。今年6月に訪問したときに細部写真をたくさん撮ってきましたので、それを参考にすれば何とかなると思っています。

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なお この1030の原型は小川謙三さんがNゲージで自作された作品が、以前とれいん誌に掲載されたようですが、1/80の作例はあるのでしょうか?

 

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4-4-0の補重(後編)

私のトビー6200の機炭間ドローバーの加工例です

ドローバーを止める段付きネジは、段の部分の長さが、ドローバーの厚みと同じよりほんの僅か長くしてガタなく回転するように加工します。私はオリジナルの段付きビスは使用せず、この部分に実物ではちょうど真空ブレーキシリンダーがあるのでそれを模した形の段付きビスを自作しました。

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製品オリジナルの段付きビスを使うなら、下図の写真の赤矢印で示したように バネの代わりに 短く切ったパイプをいれてドローバーがガタなく回転するように加工します。

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テンダー側のドローバーピンは、パイプを被せて、これがドローバーの上に載るように加工します

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テンダーの重量をこのように加工したドローバーにのせかけます。私は軸受を改造して車輪を可動式にしてバネで支えています(下図の真ん中)

テンダーの車輪軸受を可動式に加工せず、そのまま固定式にする場合は、テンダーのドローバーピンにパイプの代わりにバネをいれます。(下図のいちばん上)これはコイルバネでも板バネでもよいです。

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not to scale

上図の一番下はクラーケンさんのやり方です。ウェイトを乗せた板につけたドローバーピンを直接ドローバーにのせかけます。実際はもっと複雑なテコ機構をつくられていますが、わかりやすくするため単純化した模式図としています。

機関車やテンダーにのせるウェイトは、鉛の板やブロックを使います。お財布に余裕があればタングステンの円柱やブロックのせた方が重くなります。同じ大きさであればタングステンは鉛の約1.7倍の重さがありますが、お値段は数倍以上します

 

 

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4-4-0の補重(前編)

先週末は東京でKKCの年次総会に参加してきました。

その時にKTさんから4-4-0の補重について質問を受けましたので、ちょっとそれについて書いてみます。

動輪は左右ともイコライザーで支えて、先台車は中心を支えて三点支持にするものとします。

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仮想的に機関車本体の重量とウェイトをあわせた重さWの重心位置から先台車中心までの距離をa 動輪にかけたイコライザーの中央の支点までの距離をbとすると、動輪の軸重は (Wxa) / (2 x (a+b) )となります。先輪の軸重は(Wxb ) / (2 x (a+b)) です。


ところが4−4−0のテンダー機にはウェイトを積むスペースがあまりないので、動輪の軸重が小さくなってしまい モーターに余力があっても牽引力はイマイチということが多くなります。

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そこでテンダーに補重してその重量を動輪にかけるという裏技を使います。

w2は搭載したウェイトとテンダー本体の重さから、テンダーの車輪の軸重の合計を引いた値とします。

この時動輪の軸重は、((W x a) + W2 x (a+b+c) ) /(2 x (a+b) ) となり増加します。

なお機関車の重心位置が、動輪間のイコライザーの支点(中点)より後になると、先台車が浮き上がって走行が不安定になりますので、重心位置が先台車中心と動輪の中点の間の動輪寄りになるようにウェイトをバランスよく積んで補重していきます。

この機構のおもしろいところは、テンダーから機関車本体に掛けた重量以上に、動輪の軸重が増加することです。その増加分はどこから生まれてくるかというと機関車全体の重心が後方に移行して、先輪の軸重が軽くなってその重量が動輪の軸重に加わります。だから上記の重心の位置の調整が重要となってきます。

二つの動輪の真ん中にあるイコライザーの支点をテコの支点として考えていただくとわかりやすいと思います。

ただしテンダーの重量を機関車にかけるためには、機炭間のドローバーに一工夫必要です。

それは次回書きます。

 

 

 

 

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名古屋に出張してました

3日間ほど学会で名古屋に行っていました。

時間が少し空いたので、シロクニとシンカンセンのテーマパークに行くのはやめて、トヨタ産業技術記念館に行ってきました。

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トヨタの祖業は紡績機メーカーなので、最初は紡績機の展示です。説明係員がいて、実際に機械を動かしてデモしてくれます。機械も静態保存ではなく、デモで動かせるように改造してあるモノが多く、機械の動きを楽しめます。

 

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自動車製造を始めたころの材料試験室が復元展示されています。

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トヨタの自動車工場で実際に使われていた工作機械も多数展示されています。

工作機械好きにはたまらない展示です。

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驚いたのは120トンプレスを実際に動かしてデモンストレーションしています。

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工場の蒸気機関もスイス製のものを輸入して動かしてデモしてくれます(蒸気ではなく、伝動です)

ただ動かすだけではなく、これが複式機関であることやガバナーによる定速制御についても係員から説明があります。

 

ここはテーマパークではなく、博物館でした。機械好きの方は名古屋にいくなら、こちらを訪問することをお勧めします

 

 

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鉄道遺産を歩く 岡山の国有鉄道

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最近YさんのXへのコメントでこの本のことを知りました。

地元岡山の鉄道遺産についてこういう本が出ているのは知りませんでした。

2008年刊行なので、もう16年経過しており、一部失われているものもありますが、山陽鉄道時代からの遺構やに関しても詳しく記載されており、明治・大正のレイアウトのストラクチャーには非常によい参考書となると思います。

ISBN978-4-86069-213-1

2000円+税です。吉備人(きびと)出版

 

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9600 (51) 梯子をつける

ペンディングになっていた 9600の梯子をつくりました。

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パーツ探しで罪庫&仕掛かりキットの箱をゴソゴソ探していたら、珊瑚の15周年8620廉価版キットの箱の中から、プレス抜き梯子(t0.5真鍮製)がでてきました。これを細く削れば感じがよくなるのではないかとおもって削ってみたら、スッキリしたよい形になりました。

一般的な太い縦板に線材をハンダ付けしたものは、実物とあまりにも印象が違います。とはいっても形態本位で 0.5-0.6幅の帯板を曲げたものにφ0.3の孔を等間隔に開けて、線材を差し込んでハンダ付けで差し込んで組み立てるような工作は、私は苦手です。

ハンダ付けで組み立てるのではないプレス抜きと削り出しの一体物だと 横棒と梯子の縦板の接合部でハンダが外れたり、折れたりすることもありません。

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右半分が加工済み、左半分が加工前です。

左右の梯子の縦板部分を 0.3-0.4の厚さになるように削り、 横棒もそのくらいの太さになるように削りました。

Ladder

最初横棒の部分を強度も考えて真ん中の図のようにカマボコ状に削ったら斜め上から見た時に太くみえるので、下の図のように真円ではありませんが、裏面も角を落して斜めに削りました。

 

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実物は天板部分は下図のように、横棒が1/80にすると約1.3mm間隔の梯子状になっています。さすがに細いスリットを切り込んで この方法で実物と同じような形に加工するのは、私の技量ではちょと無理なので 諦めて平板のままにました。

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この図はクラーケンさんにいただいた、実物の図面から書き起こしました。

 

この梯子の作り方は、今度も使えるとは思いますが、肝心のベースになるプレス抜き梯子はもう市場にはないので、簡単にはいかないですね。自分で真鍮板よりイチから切り抜いてつくるのも・・・・ エッチングやレーザー加工を外注して梯子状の素材をつくればよいのかもしれませんが、そうなると真鍮より、洋白やリン銅板、ステンレスといった素材から加工した方が強度の点で有利だと思います。

 

9600 あとはブレーキ関連とサウンドの組込です。

サウンドは、SmileSoundデコーダーに改造したサウンドプログラムを搭載する予定です。

来年には塗装に持ち込みたいと思います。いったい 何年かかっているのか??

 

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9450(27)  テンダー ディテール追加

テンダーのフレアーの部分の縁取りを φ0.4真鍮線から作った半丸線をハンダ付けしました。やはり真っ直ぐ貼るのは苦手です。

テンダーにもバッファーとその座金をつけました。

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9450(26) 砂箱

英国の本線用蒸機はスチームドームだけがボイラー上にあり、砂箱はランボード上に載っているものが多いようです。2120形(B6)などはサンドドームもボイラー上にありますが、サンドドームがボイラー上にあるのは英国では小型機や産業用機に限られるような印象があります。

本機でもやはり砂箱はランボード上に置きたいと思いました。7850形では第1動輪のスプラッシャーと砂箱が一体になっていますが、本機では7750形のように砂箱を煙室サドルと第1動輪のスプラッシャーの間に設置しました。

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7750の砂箱は実物の大きさでいうと一斗缶ぐらいの大きさです。本当にこれで撒き砂が足りていたのだろうか?と疑問に思いました。そこで南アのロコでは砂箱の後をボイラーとの当たりを避けるため欠き取って内側に拡張増量したものもあるので、そういう形状に仕上げました。英国本国の鉄道は線形がよくてあまり勾配もなく、撒き砂の使用量も少なくて済んだので、砂箱が小さかったのかもしれません。日本は線形がよくなくて勾配も多いので、ボイラー上にサンドドームをつける改造された機関車も多かったようです。とはいっても英国の植民地向けの機関車では小さい砂箱の機関車も多いです。使用される現地でサンドドームをボイラー上に取り付けてふたこぶらくだ改造されたのでしょうか?

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砂箱は真鍮角材から削り出して丸棒で蓋をつけました。これは塗装後に接着剤で貼ります。

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英国ヨークの鉄博に保存されている 実物の南アの機関車では、ランボード上の赤矢印で示した位置に箱形の砂箱がついています。

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☆11/7追加

7750形の砂箱 メーカー組立図 (E714)より

英国製蒸気機関車図面集(鉄道資料保存会 1977)より引用

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9450(25) キャブ屋根 ハンドレール

キャブ屋根を取り付けました。ハンドレールノブを取り付けてハンドレールを曲げて差し込んでみました。やはりニールスン製?の蒸機は一本曲げが似合います。

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フロントデッキに主台枠の突出部をつけました。もちろん格好だけもので、帯板をデッキにハンダで貼っています。

バッファーは前作の9600とおなじように エコーモデルのバッファーの胴体のみを中ぐりして、KKC特注パーツのバッファーヘッドと組合せて可動式としました。

キャブの前後の庇は通風孔が特徴なのでドリルで穴を開けました。いつもはリベット打ち出し機で治具をつくるのですが、今回は珊瑚の500形用のパーツが手もとにあったのでそれを治具にして孔をあけました。

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エッチング製のパーツをこのロコ屋根のカーブに帯板を曲げて作った庇に カーブを曲げ直した後でハンダで貼ってそれをガイドに孔を開けました。

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まだステップや床下配管、ブレーキ関係は手つかずです。

2W後のクラブの年総会には何とか格好だけはつけて展示出来そうです。

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