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私的TMSアーカイブス

現在TMSで連載中のTMSアーカイブスで、今年の1月号には中尾豊さんの301号の記事「国鉄蒸機のテクニック」 が取り上げられていますが、自分が推すとすれば302号に掲載されている「蒸機の設計に関するテクニック」です。この記事で模型化する際の一軸先従台車の心間距離の算出法など、一般に知られるようになった情報も多いと思います。

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TMS302号(1973年8月号)45頁より引用

この記事中で2頁にわたり16番蒸機の車体幅設計について書かれています。TMSがもうすぐ1000号を迎えるようですが、この長い歴史の中で16番蒸機の車体幅設計についてまとめて解説されているのは、この2頁のみだと思います。

ご存じのように16番は国鉄形は1/80の縮尺で模型を作りますが、実物は1067mmゲージであるので13.3mmゲージになるところを16.5mmの線路を走らせるので、いろいろディフォルメが必要になってきますが、それについてまとめて書かれています。もう50年以上前の雑誌ですし 302号お持ちの方も少ないとおもうので、この2頁まるごと引用させていただきます。

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TMS302号(1973年8月号)49,50頁を引用させていただきました。

なお画像はダブルクリックすると大きくなります。

私はこの記事を読んで学んだ知識から、ずっと自作蒸機は設計してきました。

 

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エッチング板貨車を組む(5) Rail classic のワフを改造する(続)

6200上弁室タイプののバルブギアのことを考えていても、結論が出ず頭が混乱して嫌になってしまったので、以前構想(妄想)していたRail classic のワフ改造に手をつけました。

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このエッチング板の貨物室の部分を切り取って短縮します。

その切り取った側板で張りだし窓を作る魂胆です。

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縦柱などをハンダ付けした状態です。

車体側面の張り出し窓の作り方は鋭意検討中=工作法まだ決まっていません です。

こういうエッチング板組立作業は、目に見えて形が出来ていきますので、手も動くし模型作っているという実感があって楽しいですね。

部分的とはいえスクラッチビルドしているとなかなか進まないので根気が続かず手が止まってしまうことが増えました。

 

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6200をつくる(続2) テンダー ディテール追加

テンダー上面の炭庫仕切り後板(正式名称はなんというのでしょうか?)を正確な位置にかつ垂直にハンダ付けするのは難しいので、 最近はテンダー上面にφ0.5程度の穴を開けて真鍮線を立てて、それをガイドにハンダ付けしています。

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テンダーのディテールでは、給水管ハッチ操作レバー(赤矢印)を追加しました。

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これは下図のような機構になっていて、ニールスン社製のテンダーではよくみられます。

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このレバーのロッドで、テンダー上面のレバーを動かして、底面の給水弁を開きます。テンダー上面のレバーはカバーがかかっており、レバーは見えません。

この工作のあと ランボード上のバルブロッドの形態について考えていたのですが、よくわからないのでいったん6200からは手を下ろししました。この6200のランボード上にスライドバルブがのっているタイプは、側面の写真しか残っていないようで、図面や上からの写真はないようです。どなたか情報在れば教えてください。なおこの上弁室タイプの6200 東武鉄道に移籍したものもいたようですが、東武ではこの弁装置にはカバーがかかり、上にエアアータンクが増設されているので その写真はあっても バルブロッドが写っている写真はないようです。

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温故知新 TMSアーカイブズ考

広辞苑によれば、温故知新(おんこちしん)とは「昔の物事を研究し吟味して、そこから新しい知識や見解を得ること。ふるきをたずねて新しきを知る」ことだそうです。

TMS誌で1000号に向けてTMSアーカイブズという連載記事が載っています。過去のTMS誌に掲載された記事を要約して再掲載するという企画のようです。
ただひとつよくわからないのが、掲載記事がTMSでも掲載当時にはかなり評価された有用な記事であることは間違いないのですが、それを歴史的な資料として掲載しているのか、現在でも通用する実用記事として掲載しているのか そのあたりの編集部の意図です。

12月号の片野さんの「8550の作り方」は、古典蒸機自作ファンの間では今でも「米国型古典蒸機製作の教科書」と評価されていますし、今月号の中尾豊さんの「国鉄蒸機のテクニック」についても、302号と303号に掲載された続編記事とあわせて有用な内容も多々あると思います。
ただ現在は陳旧化してしまった技法も少なからず含まれているので、これらのコンテンツを現在100%使えるか、最良の推奨される技法なのかといわれると疑問符がつくと思います。
特に中尾さんの蒸機のギアボックス+ゴムチューブなどの動力調整関係を読むと昔はああやって苦労して調整したなという記憶は蘇りますが、現在はもっと優れた簡単な技法があると思います。

昭和30-40年代の任侠映画などをDVDやネット配信で見ると「(現在では)不適切な用語・表現があるが、作品のオリジナリティーを尊重してそのまま放送します」というテロップがよく冒頭にでます。
TMSアーカイブズに掲載された内容も「現在では陳旧化した技法や入手できない製品もあるが、原著のオリジナリティーを尊重してそのまま掲載します」と注釈つけるべきではないかと思います。
あの内容が現在でも全部通用する推奨された技法と誤解されて実行される読者もおられるのではないかと思います

あのTMSアーカイブズの記事から、また新しい技法が生まれてくればよいと願っています。

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ボールドウィンのCサドルタンク(1)

mougulさんによれば 19世紀の米国では熟練工が不足していたので、標準化を徹底して工業の発展を図った。ボールドウィン社はまさにそれを地でいった企業であったということです。

機関車の製造も、一形式ごとに設計するのではなく、標準設計されたパーツを組み合わせるプリフィックス・イージーオーダーのようなシステムをとっており、短納期・低価格で世界中に多くの機関車を供給していたようです。これについてはこの本が詳しいです。

日本にきた同社製の蒸機もその例にもれず、標準化されたパーツを組合せて設計・製造されたようです。そのため現存している蒸機の組み立て図は、現物とは細部に差異が認められることもすくなくない。同社の組立図は納入前の仕様書と考えて盲信しない方がよい。これもクラーケンさんからの受け売りです。

というわけで、同社の蒸機をプロトタイプとして模型をつくるときは、現物をトコトン追求するより、それを細分化してモジュールとして組み合わせた方が自分好みの機関車模型ができるようです。

これを実践されたのが、50年以上前にTMS誌に連載された87分署のダックスストーリーであったと思います。

というわけで、パソコンの画面上で5形サドルタンクをC型化して、クラブで配布された1000形用のキャブエッチング板と組み合わせてみたらよい感じになりました。クラブの来年のお題はタンクロコなので、このモデルも作りたくなりました。

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ベースの図面は機関車史研究会の「ボールドウィンの小型機関車」p24 図11から引用しました。

下回りは1200-1320形あたりのCタンクを参考にしてデッチあげました。従輪はないほうが格好よいかもしれません。

脳内ではすぐ完成するのですが、なかなか手が動き始めません。

 

 

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6200をつくる(続1) テンダー前面をデッチ上げる

テンダー前面をデッチ上げました。

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6200原形のテンダー前面はよくわからないので、英国形の写真などから、それらしくデッチ上げました。おそらく実物とは違っていると思います。末期の写真はあっても原形の写真が見つからないのと、組み立て図はありますがそれ見ても詳細はわからないところが多いです。それにこの製品には道具箱のようなパーツがついていますので、それを捨てて作り直すまでもないと思いました。

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英国Bluebell 鉄道で保存されている機関車(SECR鉄道 C-Class)のテンダー前面

12/29追記

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この機関車が実際走っていたとき(2009年)に撮影した石炭を搭載したときのテンダー前面の状態です

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6200関連の記事は、最初は高効率ギアの記事ではじまっています。

 

 

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物流博物館の鉄道古写真展を見てきました

先週 上京する用事があったので、品川の物流博物館で開催されている鉄道古写真展(鈴木直利コレクション)を見てきました。展示されている写真は個人使用目的なら撮影可ですが、ネット転載不可とのことなので、入口の看板のみ画像を載せます。

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公式の図録はないようですが、鈴木直利氏コレクション「鶏卵誌写真で見た明治期の鉄道」鉄道史料別冊が会場で販売されていたので購入してきました。

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会場に展示されているパネル写真で、東京周辺・東海道関係の写真はほぼ全部この本にのっていますが、信越線・東北線関連の写真はこの本には載っていない写真はいくつも展示されていました。その中には3900形の長野工場で、車輪を取り外した写真などもありました。

機会があれば、ぜひ足をはこぶ価値のある展覧会だと思います。

 

なおこの鉄道史料の別冊は書泉グランデで扱いがあるようです。この書泉のサイトに目次がのっています。

 

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三つ爪ピンバイスを自作しました

三つ爪の小型ドリルチャックをつかって、三つ爪のピンバイスを自作しました

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一番手前が今回自作したピンバイス、真ん中が中華通販で購入した格安ピンバイス、一番奥が30年以上前から使っている日本製のピンバイスです。

自作ピンバイスはチャックの外径がφ12、中華ピンバイスはφ14です。

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今回自作したピンバイスは、小型ドリルチャックの穴を貫通させて、内径φ7.0肉厚0.5のパイプに短く切った外径φ7.0のパイプをハンダ付けして、この部分にベアリングを嵌めました。ドリルチャックとパイプはメタルロックで接着しました。この写真を撮った後で、ドリルチャックの軸は切断しています。

 

真ん中の中華製ピンバイスは、送料込みでなんと¥300強という激安商品です。

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手前の日本製チャックを使った自作ピンバイスでは、本体のネジ部分と、キャップ内側の黒色のねじ込み部分はステンレス製ですが、中華ピンバイスは本体はアルミダイキャスト? キャップ内側の黒色部分は樹脂製です。ABSなのかポリアセタールなのかはよくわかりません。ただそれでもよく締まるので当面使えるとは思いますが、耐久性は?です。チャック自体は磁石がつくので鉄製だろうと思います。

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ついでに中華通販でモーター軸取り付けタイプの小型チャックも買ってみましたが、これは驚くことにキャップ全体が樹脂製です。とはいってもさすがに三つ爪チャックは鉄製でした。これも使い物になるかどうか? ちょっとモーターにつけるのは不安なので、軸をつけてピンバイス化してみようと思います。

 

 

 

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終活ではなく寿命との競争

某氏がSNSで、これからの模型製作は「寿命との競争」とつぶやかれていましたが、自分も60歳台の半ばになってそういう気分になっています。平野御大のように90歳超えても毎日模型製作にいそしんでおられるかたもおられますが、自分はそういう超人にはなれないだろうと思います。

終活というと後ろ向きのイメージがあり、模型の新規購入の中止、手持ちの製品やキットの処分などのネガティブなイメージがあります。自分も組む可能性の低いキットは欲しい方がおられればお譲りしはじめていますが、まだ積極的な処分までは考えいません。ただ私の場合一両の機関車作るのに数年かかることも多いので、そろそろ作りたい機関車を絞って 手が動くうちに作っておかないといけないなという気分になっています。

20歳頃の若いときにはあれもつくりたい これもつくりたい と大風呂敷を広げていましたが、結局自分がこの歳になってみるとそのうちどれだけができたか振り返ってみると愕然とします。

またコン大先生と同じように自営業者で定年がなく、毎日模型三昧の日々はまず来ないはずなので、ワークバランスを考えながら模型製作を続けていくしかなさそうです。
といっても作りたい機関車はまだたくさん残っており、機関車製作の煩悩から解脱できそうにはありません。

 

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4-4-0の補重 6200のテンダー

高効率ギアを搭載したまま放置していたトビー製6200のテンダーに少し手をいれてみました。

これは最初は一番後ろの車輪が固定式、前の車輪を中央で支えて3点支持にしています

真ん中の車輪は線バネで支持するという11/21のブログの図だと一番上の支持法にしていましたが、後の車輪のみ固定とし、前の二軸はバネ可動という 真ん中の支持法に改造しました。

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バネ可動にした車輪のドロップの軸孔は長穴に加工してあり、軸端からの集電は期待できないので、このバネが線路への圧着と車軸からの集電ブラシを兼ねています。このバネはφ0.3の燐青銅線を曲げて作りました。最終的に車輪が空転せず、安定して集電できる 最弱のバネの強さになるように調整します。

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それにしてもこのトビーの6200 購入したのはもう40年以上前ですが、それからいろいろ触りまくって、塗装も一回剥がしています。

もう自分が「寿命との競争」局面に入ったようなので、今度こそフィニッシュをきめないといけないですね。

 

 

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小型三つ爪のドリルチャックの改造

 ある方が、三つ爪のチャックがついたピンバイスを探しているとネットに書かれていました。私もググってみたのですが、日本で販売されているのは見つかりませんでした。ただその時見つかったのがこの小型三つ爪チャックです。イチネンアクセスの精密チャック29071の外径が12mmで、これが現在日本で普通に入手できる最小の三つ爪ドリルチャックのようです。

 ただそのままでは、細いドリルの先端だけ出すような使い方ができないので、ネジが切ってある軸部分にもう少し旋盤加工で穴を深く開けてみました。

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下が製品オリジナルにφ0.5ドリルをくわえたところ、上が加工後です。

これに軸をつければピンバイスになると思いますが、それはまた後日工作します。

三つ爪チャックのついたピンバイスは、中華通販で外径14mmのチャックがついたものを売っているようなので発注しましたが、どんなモノが来るかわかりません。

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3200形仕様の蒸機をもしニールスン社が製造していたら?

来年のクラブの共作お題がタンクロコになり、1030原形の製作を考えていますが、もう一両簡単な図を書いてみました。

TMS昨年2023年8月号に、石島治久さんが「ベイヤー・ピーコック3200形 遺聞」という記事を書かれています。

この記事については以前私のブログでもとりあげましたが、先輪なしとして0-6-2の軸配置で設計されたが、発注した日本鉄道からのオーダーで先輪が追加されたなど興味深い事実が書かれています。そのブログで書いたようにもし一旦指名入札で落札したニールスン社が辞退せずしかも、先輪なしで製造していたらという想定で、石島さんの記事の図面を引用させていただだき、一部改変してみました。

Nielson3200

ニールスン社が製造していたら、ベイヤーピーコック社の3200と大きく違っていたのは、おそらくサイドタンクまわりは沈み鋲仕上げになったいたと思われます。

キャブの窓開口部の形は、特にニースルン社の特徴的な形いうのはないようですが、ほぼ同じ時期に製造されて現在動態保存されているColtness Iron 社に一号機として納入された 製造番号5710 のLord Robertsというロコを参考にして描いてみました。結果的には同時に発注されたドイツ製の3240形と似たような印象となりました。

サンドドームの形も、3200や7080のようなピーコックタイプをそのまま載せたのでは違和感があるので、B6と同じような形にしてみました。

日本にはニールスン社の銘板がついたB6は輸入されていませんが、その後ニールスン社がダブス社などと合併した後で、NBLのハイドパーク工場としてかなりの両数のB6を製造して日本に輸出しています。ただこのグループのB6、日露戦争開戦のため納期がキツかったのか、戦費がかさんで少しでも安い方がよかったのか、サイドタンクは沈み鋲仕上げではありませんでした。

昨年と一昨年のクラブの共作お題のD型機では最初大風呂敷を広げて数両の製作を謳ったものの9450一両のみに終わったので、今回も大風呂敷になるかもしれないですが、一応製作予定車種として挙げておきます。

 

追記

ニールスン社は日本の鉄道会社に対しては結構高飛車な対応だったらしいとある本で読みました。ひょっとすると最初0-6-2で応札したのに、日本鉄道が先輪つきの仕様での納入を要求したので、それなら設計変更も必要だし、入札辞退するということになったのは邪推でしょうか?あるいは最初から、先輪の有無で2種類のオプションが提示されていたのでしょうか?

さらに追記(12/3)

1/80 の図面の上に 珊瑚の8620用主台枠パーツ置いてみました

Nielson3200b

これは使えそうです

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