温故知新 TMSアーカイブズ考
広辞苑によれば、温故知新(おんこちしん)とは「昔の物事を研究し吟味して、そこから新しい知識や見解を得ること。ふるきをたずねて新しきを知る」ことだそうです。
TMS誌で1000号に向けてTMSアーカイブズという連載記事が載っています。過去のTMS誌に掲載された記事を要約して再掲載するという企画のようです。
ただひとつよくわからないのが、掲載記事がTMSでも掲載当時にはかなり評価された有用な記事であることは間違いないのですが、それを歴史的な資料として掲載しているのか、現在でも通用する実用記事として掲載しているのか そのあたりの編集部の意図です。
12月号の片野さんの「8550の作り方」は、古典蒸機自作ファンの間では今でも「米国型古典蒸機製作の教科書」と評価されていますし、今月号の中尾豊さんの「国鉄蒸機のテクニック」についても、302号と303号に掲載された続編記事とあわせて有用な内容も多々あると思います。
ただ現在は陳旧化してしまった技法も少なからず含まれているので、これらのコンテンツを現在100%使えるか、最良の推奨される技法なのかといわれると疑問符がつくと思います。
特に中尾さんの蒸機のギアボックス+ゴムチューブなどの動力調整関係を読むと昔はああやって苦労して調整したなという記憶は蘇りますが、現在はもっと優れた簡単な技法があると思います。
昭和30-40年代の任侠映画などをDVDやネット配信で見ると「(現在では)不適切な用語・表現があるが、作品のオリジナリティーを尊重してそのまま放送します」というテロップがよく冒頭にでます。
TMSアーカイブズに掲載された内容も「現在では陳旧化した技法や入手できない製品もあるが、原著のオリジナリティーを尊重してそのまま掲載します」と注釈つけるべきではないかと思います。
あの内容が現在でも全部通用する推奨された技法と誤解されて実行される読者もおられるのではないかと思います
あのTMSアーカイブズの記事から、また新しい技法が生まれてくればよいと願っています。
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