TMS8月号「表情を捉える」の総括 

 今日は夏バテで一日ゴロゴロしていたので、TMSを久しぶりに熟読してみました。いつもは電車の記事は読まないのですが、117系電車の記事の最後に「表情を捉える」の総括としてこういう記述がありました。p.85

 昨今の鉄道摸型工作では、日本人の気質もあってか高度な工作ばかりが注目され、後を追う者が同じような品質を目指さないとならない空気感があります。周囲と歩調を合わせることばかりを考えたエ作では、実車への想いは薄れ、いずれ力尽きてしまいます。積み木で例えればどれだけ高く積み上げられるかを競うばかりに、積み木自体の形状や積み方への考察がなおざりになっている状況と言えます。とうしてその積み木を使うのかなぜその積み方にしたのか説明出来なくては目標を成せないのは明らかです。

 最近の鉄道模型工作が、テクニック優先でコンセプトが薄れているというこの意見にはまったく同意します。


 もちろん実車の思いは強くても工作が一定水準に達していない模型は、車両模型にしてもレイアウトにしても模型雑誌に掲載されてもしかたがないとは思いますが、構想と工作のバランスをとるのは難しいと感じます。

 

 

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手加工 機械加工

 鉄道模型特に蒸機のスクラッチビルドを続けていると、どうしても工作機械が欲しくなります。みなさんボール盤、旋盤まで逝く方は多いですが、それに飽き足らずフライス盤とか・・・まで逝ってしまう方も少なくはないようです。
 私も一時そちらの道に逝きそうになりましたが、旋盤とそのフライスアタッチメントで踏みとどまりました。工作機械を工夫して使うのは別の意味で楽しいのですが、それは機械工作道楽であって、本来の鉄道模型工作とは違うように感じるようになったからです。
 平岡さんのライブスチームの本などを拝見すると、その工作の素晴らしさに感動はしますが、自分のやっている16番蒸機模型工作とはなにか本質的に違うところがあると感じています。
 西宮のH御大も現役で仕事されていた時は工作機械を駆使されていましたが、本職を引退されて模型に専念されるようになってからは、ボール盤とフライスアタッチメント付きの小型旋盤のみを使って後は糸鋸とヤスリの手加工で工作されているようです。まあそれで、あのレベルの蒸機を続々と完成されているのも常人技ではないと感じますが・・・

 とはいっても手加工メインか機械加工メインかというのも、どちらがよいという話ではなく結局「好みの問題」ということになってしまうのだと思います。

 私は決して器用な方ではないですが、やはり手加工派で、主台枠やロッドは糸鋸で切り抜いてヤスリで削るというのが楽しいです。フルスクラッチビルドにこだわらず、パーツやキットも積極的に利用して楽しんでいこうとおもいます。

 

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TMS8月号 ベイヤー・ピーコック3200形 遺聞 を読んで

TMS8月号に石島治久さんの「ベイヤー・ピーコック3200形 遺聞」という記事が掲載されています。3200形は1C1ですが、マンチェスター科学産業博物館に、3200形の組み立て図とは別に機関車の先輪を省いて、フロントデッキを短くした仕様の図面が保管されている。3200形はC1として発注されたが、日本鉄道の要望で先輪が追加されて1C1になったらしいという経緯が、1/80の図面と一緒に載っています。

同時にドイツに発注された、3170形と3240形はともかく、石島さんのおっしゃるように3200形は先輪がない方が格好よいですね。英国本国の蒸機では、中小型機のC形やD形では先輪がないのが多いようです。

それに対して植民地などに輸出されたサブロク以下の狭軌の蒸気機関車は先輪付きが多いように思います。線路状態や軸重の関係でしょうか?南アフリカの機関車は二軸先台車が多いですね。

模型では先輪をつけると、カーブ通過でのシリンダーブロックとの当たりを避けるため先輪を前に出さざるをえないので、前端梁も1-2ミリ前に出でしまいます。そのためどうしてもデッキが広くなってしまい、少し間が抜けたような面構えとなります。7800形や7850形のように煙室が煙室サドルより前に突き出しているタイプはあまり印象はかわらないのですが、それ以外のシリンダーブロックと煙室カバーの前面が一致しているタイプの英国型は模型は実物から印象がチョッと変わってしまいます。

2120形(B6)が恰好良いのも先輪がないからかもしれないですね。9150形あたりも先輪をつけないで、デザインし直してみると少し引き締まるような気がします。<個人の感想です

(7/30追加)
石島さんの記事にもあるように、英国発注分はニールスン(ネルソン)社が辞退したため、全部ピーコックが受注したわけですが、もしニールスンが受注していたら、サイドタンク沈み鋲仕上げのまた違ったスタイルのロコが納入されていたのではないかと想像をめぐらすのも楽しいですね

 

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実物誌を買わない・読まない鉄道模型ファン

 今回TMS11月に載せていただいてた西大寺風ミキストの記事は、私からもお願いして、実物の写真(イマジネーションフォト?)を編集部で盛ってもらいました。
 そういう記事のスタイルの方が、製作意欲をかきたてられてよい、ガチガチの模型製作技法記事より楽しく読めててよいというご感想も多数いただきました。
 その一方で実物誌を買わない模型ファンにはよいが、実物誌にも買っている模型ファンはああいう実物写真は重複する(自分はその写真が掲載されている本を所蔵している)ので、それを掲載するスペースがあれば模型製作の内容をもう少し詳しく書くべきだをいうご意見もいただきました。
 また細部写真などと違って模型製作に直接役立たない実物誌には既に掲載されている写真は模型誌には無用というご意見があったので、実物誌を読まない鉄道模型ファンがどのくらいいるか知りたかったので、ツィッターの投票機能を使ってアンケートをとってみました。
 ツイッターの投票なので、母集団にバイアスはかかっているかもしれません。またツイッターの投票機能の制約で選択肢が最大4つなので、すべての意見を汲み上げているわけではないことおおことわりしておきます。
 毎月一誌でも模型誌・実物誌を定期購入していれば、購入いていることにしました。

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 一番多いのは模型誌も実物誌も不定期に買っているというグループです。どちらも買わないという選択肢はないので、その方が多いかもしれません。模型誌を定期的に買っている人は全体の1/4で、実物誌も定期的買っている人はその1/4のようです。ということは模型誌は毎月買っていても、実物誌を定期的には買わない・読まない模型ファンは、4人中3人と意外に多いということになります。


 今回は工作技法は概略と一部の重点のみ記載して、詳細は記事末のネットのリンクからネットでみてくださいというスタイルにしたのですが、これについてはやはり記事内で詳細に工作技法が読めるようにして欲しかったというご意見もおおかったです。ただそうすると限られた月刊誌の紙数のなかでは、書ける内容も量的な制約を受けるので十分記載できるともいえず、掲載できる記事数も減ると思うので、なんともいえないと思います。

 またネット上の情報はいつまでも読めるわけではないので、紙媒体で残した方がよいというご意見も多数いただきました。亡くなったモデラーの作品を保存収納する博物館が必要ということは、ずっといわれていますが、モデラーが発信したデジタル情報も保存する場所が必要だと思います。 

 

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フリーランス・モーガル(17)ブレーキシリンダー

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キャブ下がスカスカなので、ブレーキシリンダーをつけることにしました。蒸気ブレーキ用シリンダーなら1/80では直径が3mm強ですが、模型としては細すぎるので、直径4mm長さが5mmとしたら模型としてバランスがよくなりそうです。こういう大きさの適当なパーツがなかったので、自分で旋盤で挽きました。実物からみると中途半端な寸法なのですが、模型としてみると感じがよい大きさです。

この機関車では先輪も実物の大きさにこだわると大きすぎてバランスが悪くなり、小さめにしたらバランスがとれました。フリーランスでは初っ端からプロトタイプの実物寸法無視というのもよくないとは思いますが、実物寸法に拘り過ぎても模型としてのバランスが悪くなりますので、難しいところです。

 



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模型化するということ(続)

KM氏のツイート coolですね
<ディテールアップというか、模型で細部の再現をするのに「実車に近づけていく(基準は実車)」のと「実車を模型に落とし込む(基準は模型)」のどちらに面白さを見出すかで、結果的にやってる事は同じでも方向性は全然ちがうんだよなって最近よく思う。>

 

16番の日本型蒸機では、ごく少数標準軌蒸機以外は、設計の段階から「実車を模型に落とし込む」ことに専念せざるをえないと思います。
最初から「実車に近づけていこう」とすると必ず破綻するように思います。
ところで日本の標準軌蒸機というと、新京阪と神姫電鉄と海軍工廠ぐらいでしょうか

 

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模型化するということ

KM氏のツイート

<分かってて省略するのと、知らずに見落とすのは、同じ結果に見えて全然違うのよな……。知らない人は騙され、知ってる人は失望する。>

これは模型化するときの至言だと思います。

鉄道模型に限らず、実物プロトタイプを模型にするとき、実物のすべてを縮小して盛り込むわけにはいかないので、とくにディティールは取捨選択せざるを得ないわけです。

ただ「パンタグラフなどの集電装置がない電車」は考えられないように、実物の要素でこれがないと実物では成り立たないものはあるわけで、模型にそれがついてないと???となるわけです。とくにそのディテールがプロトタイプの特徴となっている場合は他の部分がいくらよくできていてもぶち壊しになってしまいます。

パンタグラフのない電車でも第三軌条の地下鉄は存在しますが、台車に集電装置がついているのを知って省略するのと 知らずにつけないのでは「この電車の実物 どこから集電してるねん?」となったときに差が出ると思います。

 

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模型としての割り切り構造

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実物の米国型のキャブは、側面からの見かけ上のキャブの床板部分には椅子がのっていて、中央部分は低くなってテンダー床板と同じ高さであり、この部分に機関助手 Firemanが乗って石炭を焼べるようになっています。ところが模型では左右の床板が一体になっていた方が、強度的にも工作上も都合がよいので、キャブの床板は中央でつないで左右一体に作ることはよくあります。今回の8450形もそのように作っていますが、実物では中央の部分はありません。またこの本来のキャブ中央床板部分には機炭間ドローバーの止めねじなどがあることが多いので、むしろダミーの
床板を見かけ上のキャブ床板部分につくって、キャブ後面の開口部だけ切り欠いておいた方が模型としては都合がよいと思います。

また実物ではブレーキロッドが中央1本の機関車も多いです。今回の8450形は実物の構造はよくわからないですが、8000番台のボールドウィン製のテンダー機関車では、かつて鉄道史料40号に掲載された臼井さんのブレーキ装置の解説記事によると中央1本のものが多いので、この機関車もおそらく中央1本だと思います。ただ実物どおりに作ると ギアボックスや動輪押さえ板の止めねじに支障するので 左右2本として作っています。

走り装置を実物どおり作ったのでは、よく走る模型はできないといわますが、材料の板厚や線径だけでなく形態もそのままの構造で縮小して作ればよいというわけではないと思います。走る鉄道模型はソリッドモデルと違って、模型としての強度や工作やメンテナンスのしやすさを考えた構造がよいと私は思います。とはいっても実物の構造を調べないで、適当に作ったのでは、手抜き工事としてしか評価はされないと思います。

 

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模型用語 実物用語

模型だと日本ではサンドドームだが、英語ではSand Box というのが正しいが、前者の方が日本では模型用語として通用しているので、サンドドームと呼んでよいのではないか ということをコンさんがブログに書かれていました。

確かに米国のPrecision Scaleのパーツカタログみると、Sand Boxと書かれています。ただ目次にはDomes(sand)という項目あるので、Sand Domeといういい方もあるのかもしれません。またSand Boxという言葉には、サンドドームだけではなく、動輪のスプラッシャーカバーと一体化した砂箱や 電関などの台車についた砂箱も含まれるようです。

ところで模型でいうロッドピンも 実物ではクランクピンというようですが、イモンの商品検索でみるとKATOとアダチがクランクピンという商品名で、金岡工房がロッドピンという商品名ですね そういえばサンゴもロッドピンという商品名でした。

別に元の英語に忠実である必要もないと思いますが、メーカーによって混用されるのは、わかりにくいですね。

 

 

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究極のディスプレーレイアウト

KNさんが面白いことをブログに書かれていました。

https://karatcreek.blog.ss-blog.jp/2020-04-12

確かに和室で、畳を水田に見立て、折り曲げた座布団を山にみたてて、組立線路で模型を走らせていたのは、究極のディスプレーレイアウトだったかもしれないです。

テレビドラマや映画のようにリアルで精密なシナリーの中で模型を走らせるだけでなく、舞台のような簡素な小道具の中で模型を走らせるのもありだと思うようになりました。

先日還暦を迎えましたが、還暦までにはレイアウト!と思っていましたが、絵に描いた餅に終わってしまいました。トホホです。

 

 

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