給水温め器の解説論文
ネット検索していたら、給水温め器の解説論文が1930年の機械学会誌に掲載されていました。
機關車給水温め器に就て 徳永晋作 1930 年 33 巻 155 号 p. 160-180
S4.3.13 機械学会での講演した内容のようです。
下記リンクからpdfがダウンロードできます
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsmemagazine/33/155/33_KJ00003054951/_pdf/-char/ja
技術的な細かい解説もありますが、その当時の日本や海外の給水温め器の各方式について解説されています。
模型のパイピングにも有用な知識が得られます。
ふだん裏稼業でお世話になっているjstageですが、こういう論文も読めるんですね
最近は学会誌に論文書くとjstage への掲載許諾の証文を一筆とられますが、1930年だともう著作権も切れているので、そういうものがなくても掲載できるんでしょう。
その頃の機械関係の学会誌検索すれば、いろいろ蒸気機関車関連の情報でてくるんでしょうか
海をわたる機関車
この本は趣味書というより学術書です。機関車の形態や技術の話はほとんどなく、日本に輸入された機関車を産業史として解説した本です。
私が面白かったのは、機関車メーカーと代理店の関係が詳述されているところです。臼井さんや金田さんの本でも、機関車の輸入代理店についてはあまり書かれていないので、本書を読んでよくわかりました。
また1900年頃には既にイギリスの蒸気機関車メーカーは衰退期にはいっており、ドイツが機械化と標準化で低廉で性能のよい機関車を輸出できるようになっていたというのを読んで、大正の機関車国産化にあたって鉄道省の朝倉希一や島秀雄がドイツ流に傾倒したのもなるほどと思いました。機関車の国産化がもう10年遅れていたら、日本にもドイツ製蒸機がもっと輸入されていたかもしれません。
また日露戦争の兵站輸送用に9200などのボールドウィンの蒸機を輸入して使用したが、中国東北部では耐寒仕様が十分ではなくて不評で、満鉄の蒸機はALCO が多数受注することになったというのも初耳でした。
明治・大正期の輸入蒸機や国産初期の歴史的背景の教養をつけるにはよい書物だと思います。
もう一冊 中公新書の「鉄道のドイツ史」というのも読みましたが、これはドイツ史の中での鉄道について書かれた本で、鉄道趣味的にはあまり参考にはならなかったです。ただプロイセンの鉄道は、軍の退役者を中心に採用したので、軍隊式の規律の強い運営がおこなわれたという話は興味深かったです。あと第二次世界大戦の時英米はライン河の橋梁と操車場を空爆して、ルール地方の炭鉱からドイツの工場への石炭輸送ルートを潰してドイツの生産力低下を図ったというのもなるほどと思いました。もちろんドイツの歴史書として読むならおもしろいですよ。
鉄道史料163号がでました
今号は、近藤一郎さんの7010形Cタンクと改造された5100形2Bタンクの記事が載っています。
巻頭の神戸駅・神戸工場の連載記事も興味ぶかいですね。乗降場が屋根付きプラットホームではなく、欧州式の線路全体を覆う建屋だったのははじめて知りました。
巻末には大阪駅の展示会のポスターと内容盛りだくさんです。
雨宮の型録も載っています。
鉄道資料保存会からいただいた発刊案内の兼ねた年賀状です。
1/15迄の直接注文だと送料サービスで¥2200だそうです。
注文先の鉄道史資料保存会のメールアドレスは、tetsudoshiryou(アットマーク)jewel.ocn.ne.jpです。アットマークは半角の@です。
☆1/9追記
神戸の記事のP17の120形の二枚の写真は初めてみました。これ見てたらあまり悩まなかった箇所もいくつかありますが、大体想像したとおりだったので安堵しました。
ワム3500形式を探る
鈴木充さんが、「ワム3500形式を探る」を自費出版されました。
ワム3500形式の特定形式本というより、日本型木造有蓋貨車の解説書として非常に参考になります。
脱線訓練の時に、横倒しになった貨車の写真などは床下の構造がよくわかります。
写真だけではなく、多くの図面・イラストで 構造や詳細がわかりやすく解説されています。
模型製作には絶好の参考書だと思います。
自費出版で一般店頭には並ばないようです。
購入申込みは、著者のホームページからできます。
http://maine38.cocolog-nifty.com/blog/2019/12/post-596e6a.html
今月号のTMS
今月号のTMSは、栗原さんの9800形マレーの記事がよかったです。栗原さんが書かれた図面や工作方法のイラストが載っているのが、以前のTMSとは違ってきたことを感じさせました。まさかロッドの溝を自分でヤスリの角を使って掘られたとは思いませんでした。
石島さんのダベンポートの機関車の解説もよかったです。ただあの信濃鉄道や筑前参宮鉄道の機関車そのまま模型化したのではカーブ曲がらないでしょうね。模型ではメーソンボギーのように主台枠を振らせてボギー化するしかないと思います。
とにかく誌上に写真ばかりでは解説イラストや図面が増えているのがよいと思います。
小池さんの宙返り電車もおもしろかったですね。また自作ラックレールの製作方法も目からウロコものですね。
TMSコンペの発表がありました。拙作の7000形は準佳作をいただきましたが、講評に準佳作クラスが今ひとつ精彩を欠くと書かれていましたが、私の出品作にも当てはまると思います。汗顔の至りです。
今年からまた入賞作品の展示会をやるそうで、その作品展示の許諾の往復はがきがとどきました。勿論協力させていただこうと思います。今年のJAMのTMSブースでも石井さんのレーザーカットストラクチャーと小林さんのNゲージスクラッチ蒸機が展示されていて、実際に現物をみることができたのはよかったです。やはり誌上だけではなく実際に模型の現物を見れるのはよいことだと思います。欲をいえば、コンペだけではなく、一部だけでもTMS掲載された模型が一定期間展示されるような場所が、渋谷のイモンあたりにできればよいと思います。
TMSコンペの作品展は、1月中旬にイモン渋谷店で開催される予定だそうです。1月末には東京出張があるのですが、日程があわないのが残念です。
米国型機関車の部品図面集 Locomotive Cyclopedia of American Practice
米国型蒸機の技術解説本です。機関車の組立図も載っていますが、大半は部品図集です。
復刻本で複数の出版社から出ているようです。
私はAbebooks(Amazon 傘下の国際的なネット古書モール)を通して、イギリスの書店から買いました。
イギリスから買うのは本の送料が安いからです。
今回見たかったのは、この米国型蒸機についているPyle型の発電機の図です。
日本の制式機についているタービン型とはかなり形態が違うようです。
山陽鉄道の大きな電灯ヘッドライトの後についている発電機もおなじような形態だと思います。
ヴォークレイン複式のシリンダーブロックの図もありました。
日本の米国型古典機の図が載っているわけではないですが、写真をみても形態がわからないとき参考になります。
鉄道史料162号がでました
今回の近藤一郎さんのJohn England旧蔵写真の機関車は120形です。掲載されている写真などは、120形製作中にお願いして見せていただいておりましたが、やはりきちんとした雑誌の記事になるとよいものです。
初代神戸駅と神戸工場、甲武鉄道2060形と多摩川橋梁、明治末期の石炭車、(カブースのようなキューポラのついた)京阪神初期の緩急車、大日本軌道の車両カタログ など私が興味ある記事がたくさん載っています。
なお前回は神保町の書泉グランデに通販頼んでしまったので、送料が高くつきましたが、鉄道史資料保存会に直接お願いすると、10/15までは送料無料で¥2200(税込み)で送ってもらえます。10/16以降でも送料は¥200なので、通販希望のかたは直接注文をおすすめします。
注文先の鉄道史資料保存会のメールアドレスは、tetsudoshiryou(アットマーク)jewel.ocn.ne.jpです。アットマークは半角の@です。
より以前の記事一覧
- 改訂版 クラウスの機関車追録 2019.08.14
- TMSは変わったのか? 2019.06.23
- ひさしぶりに「鉄道史料」誌を買いました 2019.06.18
- 工作本出ました 2019.04.06
- 興味ぶかかった読み物二題 2018.05.27
- 英国の本屋から荷物が届きました 2018.05.20
- 最近気にいった本2冊 2018.03.23
- エンジニール 2017.10.24
- 英国から本が届きました。 2017.05.16
- 北のオールドアメリカン 2016.11.10
- 英国の蒸機スクラッチビルドの本 2016.10.06
- BRITISH STEAM LOCOMOTIVE BUILDERS 2016.09.20
- 鉄道讃歌の復刻本を買ってしまいました 2016.09.08
- 「1号機関車からC63まで」の形式順インデックス 2016.08.10
- ピーコックの解剖本 2015.12.16
- ボールドウィンの解剖本 2015.11.28
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