9600(8)やはり弛む珊瑚動輪

バルブギアを組んで、ローラー台の上で慣らし回転していたら、急に止まってロックしてしまいました。第二動輪のロッドピンが弛んで、メインロッドと咬んでしまったようです。ネジを締め直して動かそうとしたら、動きがギクシャクしはじめました。どうやらロックしたときに動輪の位相が少し狂ってしまったようです。

今回は強力なコアレスモーターを使っていますので、ロックしたとき力余って位相が狂うというのは、以前8760を作っていたときにもあったので、同様の事象と考えて、動輪を一旦バラして組み直すことにしました。あまりパワーのないモーターだとこういうことは起きないのですが、強力なコアレスではおきてしまうようです。8760ではラジアスロッドが引っかかってひん曲がってしまうというのも経験しました。

動輪をバラすのはNWSLの動輪抜きでバラしました。珊瑚の動輪は車軸から抜こうとすると、一気にポンと抜けるような印象があります。天賞堂やトビーの動輪はヌルッと抜けますが、やはり軸端のテーパーなどの形状が違うのだと思います。第二動輪のみはギア交換の時に一旦バラして組み直していますので、今回はそのままです。

 

20230420-11-58-05

位相が狂わないようにするために車軸にローレットを切ってから、コンさんの動輪組立てジグをヤンキーバイスにセットして再組立てしました。このバイスは、鍋屋のERONブランドのものですが、ガタがほとんどなく車輪の組立てには最適です。値段は安くはありませんがもう30年近く使っていますので、十分ペイできています。先日も車輪への車軸圧入のためのバイスをたずねられましたので、これを推薦しておきました。

動輪を組み直してやるとまた動輪はスムースに回転し始めました。

20230420-11-54-38

| | Comments (2)

9600(8)バルブギアの組立て

私の作る蒸機は、内側スチーブンソン式が多いので、正直いってワルシャート式バルブギアの組み立ては苦手です。こういうことを書くと国鉄制式機のモデルを作っている方に笑われそうです。今回は加齢による視力低下などのため小さいピンを使った組み立てが大変になっているのを実感しました。それでもあちこち削ったり曲げたりして、何とかスムースに動くようにしました。加減リンク合併テコがクロスヘット上部の突起と当たるので結構削る必要がありました。

20230412-0-49-12

バルブロッドがシリンダーブロックに固定されているのはなんとかしたいと思ったのですが、日和ってしまってそのままにしてしまいました。

そのまま組立てても、完璧に動かないのは、珊瑚のキットの通例ですが、それを調子よく動くように組むことで満足感を得ることに慣れてしまっているのは・・・ でも珊瑚のキットはそれが楽しい

 

| | Comments (1)

9600(7)キャブの窓枠再び

先日クラーケンさんと話していたら、9600は川崎車両が設計したので、キャブ窓枠やテンダーの縁取りは甲丸線だったが、8620などの汽車会社が設計したロコは平帯板であったということを教えていただきました。

今回私は帯板を万力で潰して平帯板にしたものを窓枠として貼りましたが、これだと汽車会社仕様のようになってしまっています。クラーケンさんの話を聞くとまた手直ししたくなってきました。

20230403-23-00-54

どうしようか考え中です。

ナローのDタンクはだいたい未塗装完成になったので今度は9600にとりかかります。

| | Comments (0)

9600(6) ギアボックス(続)

9600のウォームギアですが、逆回転可能なのでてっきり三条ギアだと思っていましたが、実は二条ギアでMさんに指摘されるまで気が付きませんでした。ギアボックス自体は一年以上前に作ってあったので、忘れていました。Mさんご指摘ありがとうございました。

モーターは中華コアレスですが、低電圧からかなりトルクが強いので、ローラー運転台上でも0.4Vぐらいから起動します。

0.5Vかけたときの回転状態です。

12vフルにかけると速すぎるので、最高速度は6Vぐらいが適当かと思います。2V以上電圧をかけると指で動輪を押さえても止まりません。

なおウォームギアには、dda40xさんご指南のように、二硫化モリブデンのグリスを塗布すると回転が滑らかになり起動電圧が下がりました。

現状の台枠に動輪つけただけの状態では押しても動きませんが、キットのウェイトを台枠に載せて押すと動くので、完成後は押しても動くのではないかと期待しています。

 



モーターとギアボックスの回転軸の接続にはdda40xさんの六角穴3Dナイロン製ジョイントを使わせてもらいました。このジョイントを使うにはモーターとギアボックスの回転軸につける六角形の中子を作るときエコーの1.4mmナットの中心ネジ孔を加工して拡げる必要があります。そのナットの孔を開けるとき保持するのが大変なので、保持する治具を作成しました。旋盤で真鍮丸棒から挽き出して、糸鋸でスリットを入れました。これをバイスにくわえて、ボール盤で孔を拡げました。

20230223-19-33-51

20230223-19-10-53

※2/25追記

この2条ウォームギアとDさんの3条高効率ギアウォームギアの比較についてはもうすこし使い込んでから報告させていただきます。

| | Comments (2)

9600(5) ギアボックス

この9600には、逆回転可能な3条ウォームギアを取り付けることにしました。Dさんが作られた高性能ギアは、外径がφ14.0あり動輪径がφ15.5のこの機関車には大きすぎる*ようなので、Mさんのつくられたが外径φ11.4のギアを使うことにしました。ギアボックスは真鍮板と角材から自作し、ウォーム軸にはベアリング(1.5-4.0)、動輪軸にはオイルレスメタル(3.0-5.0)を入れてあります。モーターはφ17*25長の中華コアレスです。ギアボックスとモーターは一体化して吊り掛け式としました。

20230221-0-29-49

20230221-0-37-04

ギアボックスとモーターは仮にシリコンチューブでつないでありますが、軸の延長アダプターを自作して、手前のDさんの3Dナイロン製六角ジョイントに交換します。

*Dさんのギアは、密閉ギアボックスで使用する仕様なので、ちょっとφ15.5の動輪では、ギアボックス下面蓋と線路の距離がシビアになります。I田さんはφ15.5の動輪でもギアボックス下面カバーを削れば線路には当たらないといわれますが、当社の基準では、レール上面とギアボックスやブレーキ装置などとのクリアランスを0.8mm以上としています。というのは意外に実際のレイアウトでは、ケーディーの解放ランプやら踏切の踏み板やら、線路面上0.5mm程度の障害物は多いように思います。そしてDさんのギアはオープンなギアボックスでの使用は禁止されています。そのため今回はDさんの提示されたギア使用のための諸条件を満たしませんので使用は見合わせました。

※2/22 追記

Mさんからいただいた逆回転可能なウォームギアは、三条ギアではなく二条ギアでした。ヘリカルギアの歯数は23枚なので、1/11.5の減速比ということになります。

 

| | Comments (0)

9600(4) シリンダーブロック(続)

このキットのような構造のシリンダーブロック組立てるときは、前後板をハンダで仮止めして孔をあけて、その孔に真鍮線を突き刺して組立てます。真鍮線の位置は取付板に合わせています

20230211-13-20-19

突き通した真鍮線の上に取付板を置いて、ハンダ付けします。このやり方だと直角治具などを使わなくても、正確にハンダで組み上げることがでできます。なお昔からよくあるシリンダーブロックを二重ネジで止めるのは嫌いなので、シリンダーブロックは、ボイラーを止める中心ネジ?の左右にネジ孔を開けて、その2本ネジで止めるように改造しています。

20230211-13-53-32

シリンダー後蓋を取り付けロッドの当たりをみます。メインロッドをクロスヘッドに取り付けるのは、キットのカシメピンではなく、IMONのロッドピンで取り付けました。ただしクロスヘッドの厚みが厚いので、裏面のメインロッドが当たる部分を薄く削る必要がありました。

20230211-19-25-41

オプションで売られていたロスト製先台車を仮付けして。カーブでの当たりをみましたが、550Rでも先輪がシリンダー前蓋に当たります。

キットのままだと600Rがギリギリ、余裕をみると700Rぐらいが通過可能な設計のようです。

直線専用機にするつもりはないので、飛び出す先台車の機構を組み込もうかと考えています。9600だとできれば450Rぐらい通したいと思います。シリンダー尻棒も可動式?にして取付できないか考え中です

20230211-19-32-00

それからこのキットの先台車の心向棒長さは23mmですが、一軸先台車の心向棒の公式 b*(a+b)/(a+2b) a:先輪と第1動輪の距離 b:動輪の軸距離 に当てはめてみると 57*(31+57)/(31+2*57)=34.6となりますのでかなり短いようにも思いますが、キットの構造上これ以上長くするのは難しいです。

ただし第4動輪を無視すると 38*(31+38)/(31+2*38)=24.5 となりキットの値に近くなります。第1-3動輪は横動を殺して、第4動輪に横動を効かせるのがよいのかもしれません。

なおこの先台車公式は、むすこたかなしさんが数学的に証明されています

 

| | Comments (0)

9600(3)シリンダーブロック

このキットの完成作例を拝見すると少し腰高な印象を受けます。組立図とキット解説書図面を照合すると、ランニングボードが1mm高くなっています。そこで最初はランニングボードを1mm下げようかと思ったのですが、シンダー中心とピストンバルブ中心の間隔が0.5mm長くなっているので、0.5mm下げるに止めました。シリンダーブロック前後板の上面を0.5mm削りました。

またシリンダー前後蓋は、キットのオリジナルパーツではなく、ニワ製のロストパーツを使うことにしました。ところがニワのパーツは取付部が細いので、旋盤でスリーブを挽き出してそれを介して取り付けることにしました。シリンダーが、外径4.0x内径2.4 ピストンバルブが 外径3.0x内径2.0です。

20230209-23-43-02

シリンダー前後板を新製して、シリンダー中心とバルブ中心の間隔をスケールどおりにすれば、ランボードの高さを下げることも可能です。ただそうなると空気弁の位置もずれるのでシリンダー側面の新製も必要になってきまし、合併テコの改造か新製も必要になってきます。

今回の9600キット製作では根治治療(キットのパーツは使わず、新製)は避けて、姑息治療(キットのパーツを改造して割り切ってつくる)に徹して組立てる方針でやってみようと思います。

 

| | Comments (0)

9600(2)キャブに姑息治療を施す(続)

キャブの窓周囲の窓枠を貼りました。窓が少し大きめの感じとなりました。

厚みが0.25mmぐらいなので、ハンダ付けすると0.3mmぐらい飛び出していることになります。

20230205-22-35-18

20230205-22-35-30

私は9600やC51などの窓枠はエッチングの表現では弱すぎると思うので、このぐらいの厚みがあった方が実感的かと思います。

20230205-21-38-18

窓枠の作り方はいろいろあると思います。私は薄板を貼って抜くのが苦手なので、φ0.4の真鍮線を窓枠の形に曲げて、これを万力で押しつぶして窓枠にしています。厚みはt0.25ぐらいになるまで万力で押しつぶしています。欠点は継ぎ目が目立ちやすいことでしょうか。また治具を使っても折り曲げても万力でつぶすので、正確な寸法が出にくいです。余分に作って揃ったのを選んでいます。薄板切り出して中抜きすると正確な寸法は出ますが、加工に時間がかかるので、私の方法の方がてっとり早いと思います。

英国ではスクラッチ用にエッチング抜きの窓枠パーツが各種発売されているようで羨ましい限りです。

 

| | Comments (0)

9600(1)キャブに姑息治療を施す

クラブのお題がD型蒸機に決まって、コンさんが9550を計画しておられるわけでもないですが、私も作りかけというか、D型蒸機のロンビックイコライザーの試作で台枠だけ作りかけた サンゴの9600 二軸テンダーのキットがあったのを思い出しました。

このキットが罪庫化していた原因のひとつは、キャブの形態です。サンゴのSキャブは基本設計が、標準型のパーツを共用しているためか、キャブの形態がイマイチです。

本来なら根本治療で、キャブ全体をスクラッチで作り直すのがベストなのでしょうが、リベット打って折り曲げてと考えるとやる気が起きませんでした。姑息治療でキットのオリジナルパーツを使って何とかならないかとやってみました。

キットのパーツを9600の組み立て図にあててみると、前後方向が1mm短く、上下が1mm長くなっています。そのためかなりキャブが縦長になり全体の印象が違うのだと思います。組み立て図はクラーケンさんのブログに掲載されているものをダウンロードしました。この図を144dpiに変換して、プリントアウトするとちょうど1/80の寸法になります。

また窓の寸法が、9618以降の二つ窓タイプと同じなので、かなり感じが違います。そこで窓の寸法を水平方向を0.8mm拡幅してみました。前窓は前方に0.8mm 後窓は前方に0.2mm後方に0.6mm拡げました。垂直方向はボイラー中心が1mm上がっているが、キャブ床板とテンダー床板がほぼスケールどおりの高さなので、それをキャブの上下寸法で調整するという設計だろうと思います。標準型のキャブではあまり縦横比の変化が目立たなくてよかったようですが、Sキャブでは少し目立つように思います。人間の感覚は長さの絶対値に対してはあまり敏感ではありませんが、割合とかには敏感なので、こういう縦横比の違いも気になるようです。

キャブ下は1mm幅で切断しました。裾のSカーブはまだ未修正ですが、かなり感じがよくなったと思います。

20230205

右が加工前、左が加工後です

窓枠の一部が欠損していますが、窓枠はエッチングの表現では弱く上に窓枠を貼り重ねるつもりだったので、その加工をすれば欠損部は見えなくなります。

| | Comments (0)