最近の蒸機製品では、動輪のタイヤが黒メッキのものが多くなっています。ひとむかし前は蒸機の輪心は黒に塗って、タイヤはニッケルメッキで銀色に光っている製品がほとんどでした。レイアウト派や実物派のモデラーさんはタイヤは黒メッキの方が実感的だといわれる方が多いのですが、私を含めてタイヤはやはり銀色にキラリと光った方が、模型として美しいのでよいと思っている方も少なくないと思います。
というわけで動輪タイヤの黒メッキを剥がそうと思って、研磨剥離なども試みましたが、結構手間と時間がかかります。今回サンポールを塗布して擦ったところ簡単に剥離できましたので報告します。
なおこれは私の持っているエコーモデルの動輪(おそらく乗工社のOEM、輪心は真鍮ロストワックスで タイヤは真鍮挽物にメッキ加工)での結果です。メーカーによっては、動輪・タイヤの材質やメッキ方法の違いでうまくいかないこともあると思いますので、各自本番の前にテストしてから自己責任でお試しください。コメントでのトラブル報告は歓迎しますが、クレームはお断りします。
前置きが長くなってしまいましたが、やり方はサンポールの原液を綿棒でタイヤに塗布するだけです。動輪全体をサンポールに漬けるのは止めてください。塗布したあと1,2分経過したら新しい綿棒でタイヤの黒メッキをこすり取ると、下地の銀色のニッケルメッキが現れて、銀色のタイヤのついた動輪に変身します。少し黒メッキが残った部分はもう一度サンポールを塗って、1分経過後に綿棒で擦るとキレイに取れます。うっすら黒メッキが残ったり、ニッケルメッキの表面がつや消し状になった場合はコンパウンドで磨くと綺麗な銀色の光沢が出ます。

左が剥離前 右が剥離後
私は動輪表面のタイヤの側面も黒メッキを剥離しましたが、綿棒などでのサンポールの塗布方法を工夫すれば、タイヤ側面は黒メッキのまま残して、タイヤ踏面とフランジ部分だけを銀色にすることも可能だと思います。なお私も車輪裏面のタイヤ部分の黒メッキは剥離していません。サンポールの主成分である塩酸は銅系の合金は溶かしませんが、鉄や亜鉛合金は溶かすので、サンポールはタイヤの黒メッキを剥離したい部分だけに綿棒で塗布してください。
黒ニッケルメッキは、ニッケルと錫の合金のメッキです。ただ被膜が薄く通常のニッケルメッキより強度が劣るので、工業的には通常のニッケルメッキをした上に黒ニッケルメッキをするようです。装飾品などに黒メッキするときはさらにその上にもう一層保護のコーティングをするらしいです。ただコーティングをすると電気抵抗が非常に大きくなるので、車輪の黒メッキにはコーティング処理はしないようです。そういえば某社の通電ドローバーで、工程管理ミスで黒ニッケルメッキした通電部品にこのコーティング処理を掛けてしまったの通電不良になるという事件があったのを思い出しました。
黒ニッケルメッキの方が、普通のニッケルメッキより塩酸に溶けやすいので、今回の方法で黒メッキを除去できるわけです。ご存じのようにサンポールの成分は、9.5%塩酸に界面活性剤、香料をくわえたものです。少し粘性のある青色の液体なので綿棒で塗りやすいです。今のサンポールのキャップは少量出しても垂れないようなキャップになっているのは感心しました。なお銀色のニッケルメッキは、黒メッキのように簡単に塩酸には溶けませんが、ニッケルも塩酸で溶けるようなので、黒メッキ溶解除去後はしっかり水洗いしてサンポールを洗い流してください。
なおIMONの黒色のロッドピンも銀色に光らせたいので、この方法でやってみましたが、黒メッキは剥離できませんでした。おそらくロッドピンには黒メッキ後にコーティング処理がされているのだと思います。

下が剥離前 上が剥離後
動輪のタイヤが黒か銀色かでこれだけ印象が変わります。他の黒メッキタイヤ動輪の機関車も順次タイヤを銀色にしていこうと思っています。
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